周年は、これまでの歩みを振り返るだけでなく、企業やブランドのこれからを考える機会でもあります。では、実際に周年施策の担当者になったら、何から始めればよいのでしょうか。記念イベント、広告、社史、記念品など。周年施策にはさまざまな選択肢があるため、つい「何を実施するか」から検討したくなります。
しかし、具体的な施策から考え始めると、企画の判断基準が曖昧になり、社内で方向性をまとめにくくなることもあります。まずは、周年を通じて何を実現したいのかを整理し、その目的を軸に検討を進めることが重要です。本記事では、周年施策を検討する際に押さえておきたいポイントについて解説します。
実際に周年施策を担当する人は、どのような点に難しさを感じているのでしょうか。当社が実施した企業の周年施策に関する調査では、周年施策に今後関わる予定・可能性がある人のうち、7割以上が「周年施策への理解が得られず、検討をスムーズに進められていない」ことがわかりました。

また、実際に周年施策の企画・検討・運営に関わったことがある人が苦労したこととして、半数近くが「企画の方向性づくり」や「予算・体制の確保」を挙げています。具体的な施策を実施する前の段階で、多くの担当者が難しさを感じていることがうかがえます。

■調査名:企業の周年に対する意識調査
■実施主体:電通PRコンサルティング
■調査手法:インターネット調査
■調査期間:2025年12月17日(水)~12月19日(金)
■調査エリア:全国
■対象者:20~60代男女450人(勤務先企業の周年施策の企画・検討・運営に、過去関与した、または今後関与する可能性があるビジネスパーソン)
そこで、周年の目的を整理し、具体的な取り組みにつなげていくまでの進め方を、4つのステップで紹介します。
過去には、当マガジンでも周年を企業やブランドの価値向上につなげる考え方として「3つのシンカ」を解説し、企業・大学・自治体の事例から具体的な取り組みも取り上げています。その際に、周年施策の出発点として、「誰と、どのような関係を築きたいのか」を考えることの重要性を紹介しました。
▶「周年記念」企業PR成功のポイント キーワードは“3つのシンカ”
▶周年事業 企業・大学・自治体の事例で見る広報PRのポイント
次に必要なのは、その目的を、実際に動かせるプロジェクトへとつなげていくことです。
そのためには、社内の体制をととのえ、自社らしさを見つめ直し、目指す姿を言葉にしたうえで、目的に合った施策を考えていく必要があります。
電通PRコンサルティングでは、周年施策を4つのステップ(Ground、Redefine、Original Message、Work)に分けて考えています。4つの頭文字をつなげると「GROW」。周年を企業の次の成長につなげていくという考えから、「Anniversary GROWth model」として整理しています。

周年施策を進めるうえで、最初に整えたいのが社内の体制です。
周年は、広報・PRや総務など、特定の部署だけで進めるものではありません。目的に応じて、経営企画、人事、営業、商品開発など、関係する部署からメンバーを集め、部門を横断したプロジェクトチームをつくります。
プロジェクトチームをつくる意義は、企画を考えるためだけではありません。チームを起点に、周年事業の目的や検討状況を経営陣や社員へ継続的に共有することで、社内の理解や参加を広げていくことができます。
担当部署だけで検討を進め、完成した企画を最後に発表すると、ほかの社員にとっては「自分とは関係のない取り組み」になりかねません。一方、準備の段階から情報を共有し、必要に応じて意見を取り入れることで、周年を自分たちの取り組みとして受け止めてもらいやすくなります。
また、プロジェクトチームが経営陣と各部署をつなぐ役割を担うことで、周年の目的や方向性について認識をそろえながら、検討を進めやすくなります。
まずは、周年の目的に関係する部署やメンバーを整理し、社内へどのように情報を共有していくかまで含めて体制を考えることが、周年事業の土台づくりにつながります。
体制をととのえたら、次に自社がこれまで大切にしてきたことを見つめ直します。
周年というと、創業からの出来事を年代順に並べたり、過去の商品や広告を振り返ったりすることをイメージするかもしれません。
しかし、ここでの目的は、単に歴史をまとめることではありません。
これまでの歩みのなかから、「自社は何を大切にしてきたのか」「これからも残したいものは何か」を見つけることです。
企業は長く活動するなかで、事業内容や組織、顧客との関係が変化します。創業時には当たり前に共有されていた考えが、社員数や拠点が増えることで伝わりにくくなることもあります。
一方で、社員にとっては当たり前になっていることが、顧客や取引先から見ると、その企業ならではの価値として受け止められている場合もあります。
だからこそ、企業らしさは経営陣や担当者だけで考えるのではなく、さまざまな立場から確かめていく必要があります。
たとえば、
• 創業者や経営陣へのインタビュー
• 社員同士で歴史や価値について話し合う対話の場
• 顧客や取引先へのインタビューやアンケート
• 過去の社内報、広告、商品、経営資料などの確認
• 創業の地や事業に関係する場所を訪ねる調査
などが考えられます。
こうした取り組みを通じて、「創業時から大切にしてきた考えは何か」「周囲からどのような企業だと思われているのか」「これからも守りたいものと、変えていきたいものは何か」を整理していきます。社内にある企業らしさと、顧客や取引先など外部から見た企業の価値を重ねながら、自社らしさを改めて捉え直していきます。
企業らしさを見つめ直したら、次に「これから、どのような企業でありたいのか」を言葉にします。
周年の言葉というと、スローガンを思い浮かべる方も多いでしょう。
ただ、これは、印象に残る表現を考えることだけが目的ではありません。
大切なのは、STEP2で整理した企業らしさと、これから目指す姿をつなぎ、社員や顧客、取引先などと今後の方向性を共有できる言葉にすることです。
たとえば、事業の転換期にある企業なら、「これからどのような価値を生み出していくのか」を示す言葉が必要かもしれません。
組織が拡大している企業なら、創業時から変わらず大切にしてきた価値を、改めて社員と共有する言葉が必要になることもあります。
顧客や取引先、地域社会との関係を大切にしたい企業なら、これまでの感謝だけではなく、「これから何を一緒につくっていきたいのか」を表すことも考えられます。
周年が終わったあとも、社員が仕事のなかでこの言葉を思い出せるか。今後の企業活動の判断基準になるか。
そうした視点で、周年の先にも残る言葉をつくっていきます。
周年施策には、企業の歴史や物語の整理、周年メッセージ、映像、企業広告、社内イベント、顧客や取引先との共同企画など、さまざまな選択肢があります。
重要なのは、「周年だから実施する」のではなく、STEP1からSTEP3までで整理してきた目的や目指す姿につながるものを選ぶことです。
たとえば、創業時から大切にしてきた価値を社員と共有したいのであれば、完成した社史や映像を見てもらうだけでなく、社員自身が歴史を振り返り、これからについて話す場を設ける方法があります。
社員の新しい挑戦につなげたいのであれば、周年をきっかけに新しい事業や制度、社会への取り組みの案を募り、実際に形にしていく方法もあります。
顧客や取引先との関係を深めたいのであれば、感謝を伝える式典だけでなく、これまで一緒に生み出してきた価値を紹介したり、今後につながる共同企画を行ったりすることも考えられます。
施策を検討するときには、
• この施策は周年の目的とつながっているか
• 施策に触れる人に、どのような変化が生まれてほしいか
• 周年が終わったあとも、その活動や関係が続くか
という視点で確認します。
周年施策では、イベントや広告、記念品など、「何を実施するか」に注目しがちです。
しかし、大切なのは、施策そのものを考える前に、周年の目的を整理することです。そして、社内の体制をととのえ、自社らしさや目指す姿を明確にしていくことで、一つひとつの施策にも意味や一貫性が生まれます。
「Anniversary GROWth model」は、周年を一時的な行事で終わらせず、企業のへつなげていくための考え方です。
電通PRコンサルティングでは、これまでさまざまな企業・ブランドの周年に携わり、周年の目的やメッセージ策定、社内外のコミュニケーション、クリエイティブ制作やイベントなど具体的な施策まで、幅広く支援してきました。
こうした経験・実績を生かし、それぞれの企業が周年の目的を整理し、社内を巻き込みながら具体的な取り組みへつなげていきます。ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
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