グローバルPRの最前線で求められる3Cとは?
―Z世代社員がベテランPRパーソンに聞くグローバルPRのリアル―

clock 2026.07.08
グローバルPRの最前線で求められる3Cとは?―Z世代社員がベテランPRパーソンに聞くグローバルPRのリアル―

昨今、日本企業の海外進出が増加する一方で、海外市場におけるPR・広報活動に課題を感じている企業も多いのではないでしょうか。

国内とは異なるメディア環境や文化・価値観への理解が求められるグローバルPRでは、「何から始めればよいのか分からない」「日本での成功パターンが通用しない」といったご相談いただくケースも少なくありません。

今回は、グローバルPR領域を長年担当してきた当社グローバルビジネス部の阿部達典に、Z世代社員入社2年目の神田七海がインタビュー。

本記事では、海外進出を検討している企業や広報担当者に向けて、グローバルPRにおいて欠かせない基本的な考え方「3C」について紹介します。

Interviewer Profile

 

 

 

 

 

 


神田七海 電通PRコンサルティング グローバルビジネス部所属

米国での留学・就業経験を持つ。ニューヨークの日本政府系機関での勤務を経て、2025年に電通PRコンサルティングへ入社。インアウト/アウトイン双方のグローバルPR案件を担当し、Z世代の視点と海外での経験を生かしながら国内外のコミュニケーション支援に取り組んでいる。
Outside of Work
趣味:丁寧な生活(LA周辺にいるIt Girlへの強い憧れ)
休日の過ごし方:部屋の細かめの掃除とジム通いは必須事項で、それができないとストレスがたまり始めます。それ以外だと読書したり映画を見たり友達と出かけたりと気ままに過ごしています。ちなみに次の休みは塩こうじと玉ねぎこうじを作る予定です!
積読(つんどく)中の本:『具体と抽象』『パリでメシを食う。』『スタイリッシュ・キッズ』

 

Interviewee Profile

 

 

 

 

 

 


阿部達典 電通PRコンサルティング グローバルビジネス部 プランニング・ディレクター

戦略コンサルティングでの経験を生かし、グローバル広報領域を中心に従事。デジタルコミュニケーションやクライシスマネジメント領域もカバーし、日本企業の海外進出支援をテーマに活動している。
Outside of Work
趣味:写真撮影や映像作品を作ること、モータースポーツ(休日のドライブ含む)
休日の過ごし方:映像作品のロケに出かけているか、家族とカフェ巡り
積読中の本:買ったらすぐ読むので積んでる本なんてない

目次

  1. 1.はじめに
  2. 2.グローバルPRにおける「3C」とは
    1. 2.1.Cost(費用感)
    2. 2.2.Culture(文化)
    3. 2.3.Calendar(カレンダー)
  3. 3.編集後記(神田)

 

はじめに

神田:グローパルPRの新連載企画がスタートしました!この連載では、私がZ世代社員を代表して、グローバルPR歴の長い阿部さんにインタビューし、海外進出を考える企業の方々にナレッジを共有する機会となるように深掘りしていければと思います。

阿部:はい、新連載企画ね。よろしくお願いします。最近グローバルPRについてのご相談がとても増えていますよね。企業のスケールにかかわらず、直面されている課題は共通する部分も多いなと感じていて、主要なポイントを皆様にお伝えし、何か一つでも参考になればうれしいです。

神田:そうですよね。私も、グローバルビジネス部に所属し、日々、日本企業のグローバルPRに携わらせていただいていますが、海外に向けたコミュニケーションについて、皆さんが共通した悩みや疑問を持たれていると感じます。そこで今回は、グローバルPRの基本的な考え方について、改めて阿部さんにお伺いしたいです。分かりやすくお願いします!

 

グローバルPRにおける「3C」とは

阿部:早速ですが、マーケティングでよく使われる環境分析のフレームワークに「3C分析」は聞いたことありますか?

Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点から事業環境の分析を行う方法ですが、これとは別に、私はグローバルPRにも重要な「3C」があると考えています。

それが、「Cost」、「Culture」、「Calendar」です。グローバルPRというと、まず言語の壁をイメージする方が多いかもしれません。しかし実際には、この3つを理解しているかどうかが、プロジェクトの成否を大きく左右するのです。一つずつ解説していきますね。

Cost(費用感)

まずはコスト。一度日本国内の予算基準を脇に置いて考えることが重要です。というのも、日本企業では、国内のPR活動であっても十分な予算が確保されにくいケースが少なくありません。その延長線上でグローバルPRを考えると、「これだけの予算をかけても、できることはこれだけなのか」と、まず予算面でのギャップに直面してしまうことがあります。

特に現在は円安の影響もあり、日本国内の感覚で見積もると想定以上のコストがかかることも珍しくありません。また、グローバルPRでは日本国内の活動では発生しない通訳・翻訳費や現地パートナーとの連携費用など、追加コストも必要になります。そのため、「グローバルPRを進める上で最も重要なことは何か」と聞かれたら、私はまず「予算の確保」と答えます。不都合な真実…みたいな回答ですが実際問題、適切な予算があってこそ、必要な施策を十分な規模と質で実行できるからです。

Culture(文化)

次にCulture。これは読者の皆さんもイメージしやすいポイントではないでしょうか。言語、政治、諸規制、宗教、生活習慣などが異なることで、人々の価値観や行動様式にも大きな違いが生まれます。PRパーソンとして理解しなければならないのは、こうした文化的背景の違いが、現地のメディアランドスケープやコミュニケーションの在り方にどのような影響を与えているかという点です。

例えば、記者発表会一つを取っても国や地域によって事情は大きく異なります。中東の一部地域では、政府関係者や有力なステークホルダーの参加が集客に大きく影響することがあります。また、香港ではスポンサーシップやタイアップなどを活用しながらメディア露出を確保する商慣行が見られるケースもあります。さらに、中国やベトナムなどでは、報道や情報発信に対する政府の管理・規制が比較的強く、記事公開までに確認プロセスが必要となる場合があります。このように、文化や政治・社会環境の違いは、メディアとの向き合い方や情報発信のプロセスにも大きな影響を与えます。海外進出を目指す企業や広報担当者にとっては、それぞれの市場におけるメディアランドスケープを正しく理解しておくことが欠かせません。

また、これはPR業界に限った話ではありませんが、海外では契約を重視する文化が一般的です。業務範囲や成果物、対応内容は契約書に明文化されており、契約外の業務が発生した場合には追加費用が発生します。日本では、クライアントから要望があれば契約範囲を超えてでも柔軟に対応しようとするケースが少なくなく、それが日本企業らしい誠実さとして評価されることもあります。しかし海外では、まず契約内容を基準に業務を進めることが一般的です。もちろん、長期的な信頼関係が構築されていれば柔軟な対応が行われることもありますが、「契約」と「関係性」のバランス感覚は、日本とは異なる文化的特徴として理解しておくべきでしょう。

Calendar(カレンダー)

最後にCalendarです。Cultureの話とも近いのですが、各国の祝日や国民的イベント、季節ごとの慣習を把握することは、PR活動の重要なヒントになります。日本でも季節性を意識したPR施策が数多く行われていますが、海外においても、その土地の文化に根付いた伝統や催事を理解し、尊重することが欠かせません。むしろ、それらをうまく取り入れることで、現地の生活者やメディアにとって共感しやすいコミュニケーションにつながります。

また、カレンダーという観点では、現地の人々のワークスタイルを理解することも非常に重要です。日本人は世界的に見ても長時間働く傾向がありますが、多くの国では仕事以外の時間や家族との時間を優先する考え方が一般的です。例えば、欧州を中心に長期休暇を取得することは当たり前で、夏休みを数週間から1カ月程度取得するケースもあります。そのため、プロジェクトの主要メンバーやクライアント担当者と連絡が取れなくなることも決して珍しくありません。また、中東ではイスラム教の礼拝日が金曜日ということもあり、週末は金・土曜日とする国が多く存在します。さらにインドでは、同じ国内であっても地域や宗教によって祝日が大きく異なるため、スケジュール調整には細心の注意が必要です。

このように、現地で働く人々の生活リズムや働き方を理解しておくことで、「この時期のイベントは避けた方がよい」「このタイミングで発表するなら、準備はいつから始めるべきか」といった判断もしやすくなります。グローバルPRでは、現地のカレンダーを把握することは単なるスケジュール管理ではなく、円滑なプロジェクト運営や良好な関係構築にも直結する重要な要素なのです。

 

神田:「グローバルPRの3C」は、非常に基本的なことでありながらも、国内PRとは根本的に異なる重要なポイントですね!注意すべき留意点が国ごとに異なるという複雑性が表れていると感じます。

阿部:そうですね。頭では分かっていても、実際にグローバルPRを実践すると、環境や商習慣の違いをあらゆるシーンで実感しますし、まずは「われわれは違うのだ」と理解して尊重し合うことが、グローバルPRの第一歩ではないかと思います。3Cは、クライアント企業の皆様にも最初に共有するポイントですが、実はこの応用編として、最近は「グローバルPRの7C」を理解することが重要だと感じ始めています。

神田:3Cでなく、7C!重要視すべき要素が増えているということですね。ぜひ教えてください! (後編につづく…)

 

編集後記(神田)

「グローバルPRの3C」について学び、改めて感じたのは、グローバルPRは決して特別なものではなく、「相手を理解する」というコミュニケーションの基本を突き詰めたものだということです。「何を伝えるか」以前に、「誰に、どのような環境で伝えるか」を理解することの重要性を実感しました。

私自身、海外で話題のPR施策を見ながら、「なぜ日本では実現が難しいのか」「なぜ日本企業は同じような施策を行わないのか」と疑問に思うことがあります。今回のインタビューを通じて振り返ってみると、その答えの多くはCost、Culture、Calendarという3Cの考え方に行き着いていたのだと気付かされました。

次回の後編で、進化系のフレームワーク「グローバルPRの7C」を深掘りしますので、ぜひお楽しみに!

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

▼関連記事

資料ダウンロード

グローバルPR支援サービス

グローバルPR支援サービス

電通PRコンサルティングのグローバルPR支援は、国や地域ごとのPR環境や文化的背景の違いを踏まえた戦略立案と、確実な実行力を強みとしています。

海外市場への進出を目指す日本企業、ならびに日本市場...

この資料をダウンロード download arrow
files

資料ダウンロード

各領域・ソリューション別のサービス資料や会社概要はこちらからダウンロードいただけます。

資料ダウンロード一覧

arrow right
mail

お問い合わせ

ご相談・ご質問は、フォームから受け付けています。

お問い合わせ

arrow right
device desktop

PRコンサルタントによる無料相談

free consulting

当社のPRコンサルタントが、個別にオンラインにて無料でご相談を受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。

mail

お問い合わせ

当社への業務依頼やご質問も受け付けています。
費用感を知りたい、そもそも自社の課題に対する対応が可能なのかなど、お気軽にお問い合わせください。