SNS運用を疑似体験できるカードゲーム「#中の人」で見る、SNSマネジメントの本質とは

clock 2026.06.08
SNS運用を疑似体験できるカードゲーム「#中の人」で見る、SNSマネジメントの本質とは

SNSの投稿案を前に、「この表現は攻め過ぎではないか」「いや、これでは届かないのではないか」と議論が行き詰まる――。企業のSNSアカウント運用(以下、SNS運用)の現場では、判断に迷う場面が日常的に発生します。

複数の目的を担うSNSは、手軽に情報発信ができる一方で、目標設定や投稿内容の適切な判断など、さまざまな面で揺らぎやすい情報発信ツールでもあります。

そこで、電通PRコンサルティングでは、SNS運用を行う“中の人”の意思決定を疑似体験できる、カードゲームを活用したソリューションを開発しました。

本記事では、SNS運用の準備段階や運用時に発生するイベントとその対策を具体的に学べる本カードゲームの活用方法と、PR思考で設計するSNSマネジメント戦略について解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.SNS運用の現場で見えてきた、準備と判断軸の重要性
  2. 2.カードゲームで “中の人”の意思決定を疑似体験できるソリューションを開発
  3. 3.カードゲームの全体設計―準備の“選択”と運用開始のタイミングがフォロワー獲得のカギとなる
  4. 4.準備と運用の連動性を象徴するカードの組み合わせ例3選
    1. 4.1.例① 再現性を持たせてチームでアカウントを運営することが大切
    2. 4.2.例② 想定外のニュースに即時対応できる“攻め”と“守り”の体制が肝
    3. 4.3.例③ チームの外にも目を向けることが重要
  5. 5.開発の背景:「来週アカウントを立ち上げたい」という相談から見えてきた課題
  6. 6.プレイ後の「講評」を通じて生まれる気づきと実感
  7. 7.PR思考で設計するSNSマネジメント戦略で再現性のあるSNS運用へ

SNS運用の現場で見えてきた、準備と判断軸の重要性

企業やブランドがSNSアカウントを運用することは一般的になりました。これは民間企業だけではなく、官公庁や地方自治体など、公共性の高い組織にも広がっています。

電通PRコンサルティングでは、SNSアカウントの立ち上げ前の準備から継続的な運用支援まで、組織のSNSによる情報発信を支援しています。

支援をしていく中で、SNS運用における体制づくりや投稿内容の判断軸の設定、リスクヘッジと対応準備の重要性についてはなんとなくイメージできても具体的にどのようなことが必要になってくるかは把握できていない場合が多いと感じていました。

このような状況を受けて、当社内のSNS炎上事例分析などを行うチームで開発したのが、SNS運用を行う上での意思決定を疑似体験できるカードゲーム「#中の人」です。

 

カードゲームで “中の人”の意思決定を疑似体験できるソリューションを開発

「#中の人」は、4~5人のプレイヤーが対面で対戦するカードゲームです。プレイヤーが企業やブランドのSNS運用担当者を任されたという設定で取り組みます。ゲームの12ターンを1年間に見立ててプレイした後、最終的にフォロワー獲得総数の多い人が優勝です。なお、12ターンのうち、最初の1ターン目は全員がSNS運用の「準備期間」の設定とし、それ以降のターンで「準備期間」と「運用期間」をどの程度設けるかは、プレイヤーが各自で選択します。

プレイヤーは、炎上リスクや運用方針、準備期間と運用期間のバランスなどを考えながら取り組みます。

終了後には各プレイヤーの戦略や判断についてPRコンサルタントと共に振り返る講評や、ディスカッションの時間を設けています。

 

カードゲームの全体設計―準備の“選択”と運用開始のタイミングがフォロワー獲得のカギとなる

準備期間は、16枚のカードの中から自分の手札にするカードを選びます。

オフェンス(攻め)とディフェンス(守り)を、どんなバランスや内容にして運用期間に入れば、フォロワーの獲得または減少回避につながるかを考えて、手札を各ターン1枚用意することができます。

手札が十分に準備できたと思ったプレイヤーは運用期間へ移行します。

運用期間に入ると、プレイヤーは山札から1枚ずつイベントカードを引き、その書かれている内容に対応する手札があれば対処します。ない場合はそのまま受け入れます。また、手札のオフェンス(攻め)カードから、施策を仕掛け、フォロワー数を増やすことも可能。そうしてフォロワーの増減を経験していきます。

運用期間は1ターンごとに+500フォロワーが基礎点として増える仕組みになっています。よって、早く運用を始めれば基礎点は積み上がる一方で、準備期間が短過ぎると運用開始後の不測の事態に対応できない可能性が高まることも否めません。

運用期間に山札の中からどのイベントカードを引くかは運の要素も入ってきますが、実際のSNS運用の場面でもそれは同様です。よって、さまざまなイベントが発生した際に対応できる手札を持っているかが、フォロワーの増減を左右する仕組みになっています。

では、具体的にどのようなことが発生するのか、いくつかの例を見ていきましょう。

 

準備と運用の連動性を象徴するカードの組み合わせ例3選

例① 再現性を持たせてチームでアカウントを運営することが大切

SNS運用の現場では、投稿内容の作成などが属人的になっているケースが多々あります。平常時は問題なくアカウントの運用ができていても、万が一、その特定の担当者の体調不良や退職などが発生した際に、運用の継続が困難になりかねません。

ゲームの中では、[SNS運用担当者の腰痛が悪化]や[SNS運用担当者が突然の退職]というネガティブなカードがあり、それぞれフォロワー数が-1500というインパクトの大きさです。

ただし、[SNS運用担当者が突然の退職]というカードを引いてしまったとしても、準備期間に[アカウント運用マニュアル]や[SNSサポートスタッフ]という準備カードを手札に用意しておけば、ダメージを回避もしくは軽減することができます。

アカウント運用マニュアルがあれば、急に新しい担当者を迎えても対応がしやすいこと、また、運用サポートスタッフがいれば担当者の負担を軽減することができることを象徴しています。

例② 想定外のニュースに即時対応できる“攻め”と“守り”の体制が肝

運用期間に山札から[会社の不正を元従業員が告発]というイベントカードを引いた場合は、手札に[緊急対応体制の構築]を持っていれば、ダメージを0にすることができます。

 

一方、ポジティブな事例として[従業員の良い対応が一般投稿で拡散!]というイベントカードを引いた場合は、+1000フォロワー効果に加えて、[SNSの基礎知識]や[部門間連携]などの準備カードを持っていると、さらに+1000で合計2000フォロワー獲得のコンボ効果があります。

つまり、上記の準備カードのような、日頃からの“攻め”の準備が万全であれば、自社のアカウントから即効性のある投稿や拡散につなげることができるということです。


例えば、SNS上で「●●社の社員さんが、今日道で迷子になっていた犬を近所の交番まで連れていってくれた…ありがたすぎる」などといった投稿を発見した際に、公式アカウントから「こちらこそ見守っていただき、感謝申し上げます」などといったコメント返しを迅速かつ的確にできたら、自社による発信だけでは作ることができない、信頼や評判につなげることができるでしょう。

例③ チームの外にも目を向けることが重要

自社の経営層の変更によりSNSの運用方針も見直すことになったり、SNS運用の予算が縮小するなどの事態が発生したりすることが往々にしてあります。

ゲームの中では、例えば[SNS運用方針の見直し][別の施策に予算が取られる][撮影機材が壊れてしまう]などのイベントカードを引いた場合、[社内で味方を獲得]カードでダメージを回避することができます。

SNS運用だけでなく、広報担当者の日頃の行いや頑張り、取り巻く環境も軽視できないことを象徴しています。

開発の背景:「来週アカウントを立ち上げたい」という相談から見えてきた課題

SNSアカウントの開設時にはやるべきことが数多くありますが、SNS運用が「コンテンツマネジメント」のみだと捉えている方も多いのではないでしょうか。実際、当社にも「来週SNSアカウントを立ち上げたい」と相談が入ることもあります。

しかし現実には、運用体制の構築、「自社らしさ」の棚卸し、クリエイティブの方向性、リスク発生時の対応フローなど、コンテンツ以外の部分にも視野を広げてSNS運用全体をマネジメントしていかなければなりません。

事前のSNS運用マネジメントの全体設計なしにアカウントを立ち上げると、運用が立ち行かなくなることは避けられないのです。

一方で、この全体設計図だけを見ても、自社が何から手を付ければいいのか分からない場合もあるかと思います。

そんな時、本ゲームを通じてSNS運用を疑似体験することで、例えば「マニュアルがないと、ポジティブな反応にも対応できず機を逸してしまってもったいないんだ」「緊急対応体制の構築をしておかないと、リスク事象が起こった時にすぐに対応ができないのか」といったことが実感として理解できる仕組みになっています。

実際に本ゲームのプレイ現場では、準備カードが目の前に並ぶと、大多数のプレイヤーがどのカードを手札として用意するか迷い、悩む様子がうかがえました。そして、SNS運用のプロセスを通じて、評判を高めていくのは一朝一夕ではいかないものの、崩れるのは一瞬であることが可視化されていくのも本ゲームで得られる大きな学びの一つです。

 

プレイ後の「講評」を通じて生まれる気づきと実感

ゲームとしては、便宜上フォロワーが多い人が勝ちという設定にはしているものの、本質的に重要なのはフォロワー数ではありません。

最も重要なのは、ゲーム終了後の「講評」タイムです。各プレイヤーがどういう戦略で準備カードを選び、イベントに対処できたのか、できなかったのか。そしてその結果、どれだけのフォロワー数になったのか、という振り返りの時間に重きを置いています。

例えるなら、将棋の対局後に行われる、対局者同士がお互いの打ち手について話し合う「感想戦」に近いです。4人でプレイすれば、4通りの戦略・戦術が生まれます。どのプレイヤーが一番良かったか悪かったかではなく、講評を通じて理解を深めることで、具体的にSNS運用をイメージできるようになります。

 

PR思考で設計するSNSマネジメント戦略で再現性のあるSNS運用へ

SNS運用においては、数多くの成功パターンが存在します。

一見、SNSの運用は、センスでやっているように見られがちです。しかし、そのセンスと呼ばれている運用の裏には、知識や準備に裏打ちされた戦略があります。

チーム体制の変更や引き継ぎ、複数のSNSへの横展開、守りを攻めに転用するところまで、再現性のある運用は可能です。

本ゲームは、当社が実施するSNS運用研修およびセミナーのコンテンツの一つとして活用しており、1時間程度でSNS運用における準備から継続運用までの基礎を体系的に学べる設計となっています。

電通PRコンサルティングでは、組織のSNS運用戦略の設計から、リスクマネジメントまでサポートしています。カードゲーム研修を含むSNS運用セミナー開催などに関するご相談等がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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