各国の政治・経済動向が相互に影響を与えるグローバル社会において、諸外国の政策を早期に把握する必要性が高まっています。こうした背景を受け、当社は米国最大のアジア研究を専門としたシンクタンク「全米アジア研究所」(The National Bureau of Asian Research、以下NBR)と米国の対日経済政策の分析、対応・体制強化に関する協力関係を構築し、『ワシントン政策分析レポート』 を作成しております。

本レポートは、米国のアジア外交専門家と、当社のパブリックアフェアーズ専門家において2025年1月に協議した内容に基づいて作成しております。『トランプ新政権の政策と
中国の対米姿勢の展望』と題した今回のレポートでは、就任直後のトランプ政権の経済政策、中国の対米外交の展望などをまとめております。

 

■ エグゼクティブサマリー

・トランプ新大統領は関税を武器として、各国とのディール(取引)を行う。日本に対しては、貿易不均衡の是正、国防費増額、米国債購入額、為替操作などについて米国有利の要求を行うと予想される。中でも、対日貿易赤字の是正が最も重要なテーマとなるだろう。

・中国政府がトランプ政権に対して懸念している点は3つある。1つ目は経済(関税、経済制裁、輸出規制、投資審査等)であり、2つ目は防衛・安全保障、そして3つ目はイデオロギーの問題である。

・トランプ政権下で米国内の社会的結束は弱体化し、民主主義制度が侵食され、政治的・社会的暴力が増え、社会の分断が進む懸念がある。そして、米国内を分裂させるために、中国は偽情報の流布を含めて影響力を行使する可能性がある。

・副大統領となるJ.D.ヴァンスは頭脳明晰な人物であると同時に、優れたディベーターである。外交や国際問題に関する経験は浅いが、キャッチアップ能力は高いと思われる。日本側で彼のカウンターパートが見当たらない。

※別サイトに移動します