各国の政治・経済動向が相互に影響を与えるグローバル社会において、諸外国の政策を早期に把握する必要性が高まっています。こうした背景を受け、当社は米国最大のアジア研究を専門としたシンクタンク「全米アジア研究所」(The National Bureau of Asian Research、以下NBR)と米国の対日経済政策の分析、対応・体制強化に関する協力関係を構築し、『ワシントン政策分析レポート』 を作成しております。
本レポートは、米国のアジア外交専門家と、当社のパブリックアフェアーズ専門家において7月に協議した内容に基づいて作成しております。
『2024年の見通し~米国大統領選挙と中国の一帯一路』と題した今回のレポートでは、米国の経済政策と中国の動向、2024年今後の見通しについてまとめております。
■ エグゼクティブサマリー
本レポートは、2024年1月に米国のアジア外交専門家と、電通PRコンサルティングのパブリックアフェアーズ専門家の間で協議された内容に基づくレポートである。
特に注目すべき点として次の4点が挙げられる。
・バイデン政権の経済政策は、この3年間政権内や議会でさまざまな内部闘争があったわりには大型の法案を通し、かなりの成果を出している。具体的には、対コロナ政策やインフラ法案、CHIPS法、インフレ抑制法などである。しかし、富の配分についてはまだ国民が十分に恩恵を受けておらず、共和党からの批判にさらされており、11月の大統領選挙までのキャンペーンにおいて重要なアジェンダとなるだろう。
・2024年の大統領選挙キャンペーンの展開に対して、大きく左右する要素は4つある。1つ目は下院議会の動き。2つ目はトランプの訴追が与えるキャンペーンへの影響、3つ目が第3の政党の出現。そして、4つ目がバイデンとトランプの健康問題である。
・中国の一帯一路構想にはさまざまなプロジェクトが含まれているが、ピーク時の約8000から5000程度に減少した。また、資金面で見てもかなり縮小しており、5年前と比較し、約1/3の規模の400億米ドルくらいとなった。投資が不良債権化する恐れもあるが、引き続き、戦略的に重要な相手国や重要鉱物を持つ国には投資を継続する模様である。
・米国議会にとって、ウクライナ戦争よりもイスラエルとハマスの戦闘の方が優先度高く、ウクライナ以上にイスラエルを支持している。