企業広報戦略研究所は、2018年9月6日に採用担当者、広報担当者向けセミナー『コーポレートブランディングを通じた採用活動の重要性』を開催しました。当セミナーでは、採用コンサルタント/アナリストの谷出正直氏とともに、主任研究員の根本陽平と萬石隼斗が登壇し、調査結果や事例を交えながらコーポレートブランディングを通じた採用活動の重要性を説明しました。

 

「企業が“選ばれる”時代に求められる、採用・広報担当者の視点」

採用コンサルタント/アナリスト 谷出正直氏

■採用活動をめぐる変化

まず、今後は国内労働人口の減少をはじめとした複合的な要因によって企業を取り巻く採用環境はさらに厳しいものになっていき、人材採用は企業の最優先事項になっていくことが予想されます。
企業サイドでは、優秀な人材を確保するため就活に対する「早期化、積極化、多様化」が進んでいます。一方、学生サイドでは就職活動期間の短期化や売り手市場という環境もあって、入社予定の企業に対する期待の低下や入社1年目でも転職意向を持つなど、企業に対しては非常にシビアな目を向けています。このように採用活動が大きく変化していく中で、自社に「早く・正しく・興味」を持たれる採用活動、広報活動がますます重要になっています。

 

■採用担当と広報担当に必要なリクルーティングイノベーションとは

企業が学生に選ばれるためには、「人を集める」ことのみに偏重する採用ではなく、企業そのものの魅力自体を磨き、企業のファンを作りクチコミや紹介でその企業の魅力が伝わっていく「人が自然に集まる」採用へと大胆に転換する必要があります。そのために採用担当者は、企業広報担当者と連携し、自社の採用活動のみならず人事企画を活用して企業の広報活動に生かすことが重要になります。

 

「調査からみる、コーポレートブランディングを通じた採用活動の重要性」

萬石隼斗主任研究員

 

■採用版・魅力度ブランディングモデル開発

企業広報戦略研究所は、採用コンサルタント・谷出正直氏の協力を得て、2018年6月に「採用版・魅力度ブランディングモデル」を独自開発しました。
就活生を将来の重要なステークホルダーと捉えると、その就活生が能動的に企業への情報収集や研究をしてくれる採用活動は、中長期的にも企業にとって非常に重要な機会となります。この機会を最大限活用するため、企業が採用活動を通じていかにブランド形成を行うかを測る指標をモデル化したものが「採用版・魅力度ブランディングモデル」です。

 

■就職活動を通じて、企業を好きもしくは嫌いになった経験のある就活生は「9割」

本年7月、2019年3月に卒業予定の内々定・内定を1件以上獲得した大学生/大学院生1000人を対象に就職活動調査を実施しました。
調査の結果、就活を通じて、企業を好きもしくは嫌いになった経験のある就活生は「9割」。さらに、企業を好きになった経験者のうち、「今後もその企業を応援したい」と98.1%が回答しています。「好きになった企業について、周囲の人に優良企業だと伝えた」割合は約半数(53.5%)に上りました。
また、入社を決めた企業の魅力との接点は、社員との対面や社員、元社員が書き込む口コミサイトおよびテレビ番組やWEBニュースとなっており、インターナルコミュニケーションを含めた広報活動が重要な決め手になることがわかりました。

 

採用版魅力度ブランディングモデルと、主な調査結果はこちら 

 

「コーポレートブランディング成功のポイントを最新事例から考える」 

採用コンサルタント/アナリスト 谷出正直氏 × 根本陽平主任研究員

■採用と広報どちらにも効果を発揮する「採&広コンテンツ」をつくる視点が重要

ここまでお話した通り、採用と広報は一体化する必要性があります。つまり採用担当者も、自社施策の世の中の反応を想定するといった意味でPR視点を持つべき時代になっています。
谷出氏および根本主任研究員からは、直近の成功事例が数多く紹介され、なぜそれを行うのか?納得できる理由、一貫性のある姿勢が重要であることが示されました。その上で、社会トレンドに乗ることで、就活生に深くリーチできることもポイントであることなどを確認しました。

 

採用広報では、企業価値を採用活動にも投影する必要があります。企業としての正当性を考えて企業理念やビジョンにひも付けて採用活動そのもののプロセスや狙いを整理し、実行することが求められています。
また、採用版企業魅力度の項目を活用して、自社の活動や行動を棚卸しし、自社はどのポイントを底上げするべきなのかを考え、企業価値そのものを上げることも重要となってきます。
さらに、世の中の社会トレンドを捉えた上で施策の立案実行をすることも自社を深く広く認知してもらうために必要となります。
この3つをそろえることで、世の中そして就活生に対して受け入れられる、採用と広報どちらにも効果を発揮する「採&広コンテンツ」ができるのではないでしょうか。