6月は性的マイノリティー(LGBTQ+)の権利を擁護、啓発する活動を行うプライド(Pride)月間です。そこで、電通PRコンサルティング(以下当社)のLGBTQ+に関する取り組みについて紹介したいと思います。
LGBTQ+とPR
当社はPR会社として、クライアントである企業・団体と連携してさまざまな社会課題の解決を目指していますが、今日の大きな課題として人権、特に性的マイノリティーへのさまざまな差別の解消というテーマがあります。日本では性の話題はタブー扱いされがちで、企業が意見や立場を明確にすることははばかられていましたが、昨今は世界各国で性的マイノリティーの人権への関心が高まり、何もしないことがむしろレピュテーションリスクにつながりかねない状況となっています。
クライアントの意識も進んできており、取引先を選ぶ際に人権推進活動の取り組みをチェックする、といったことも起きています。当社でも新卒の採用活動において、企業としてLGBTQ+への配慮があるかどうかについて、当事者ではない学生からも質問があり、若年層の関心が高まっているのを感じています。
企業・団体はこの課題にどう取り組めばよいのか。当社を含む電通グループでは、グループ行動憲章 を定め、そこで「私たちは、人種、宗教、国籍、出身地、性別、性自認および性的指向、年齢、妊娠、障害などによる差別、その他法令等により許容されない差別を行いません」とうたっています。自ら差別を行わないことはもちろん、社会に存在する差別をなくしていくために行動することが、PRを生業とする当社の役割だと考えています。
社内施策~勉強会開催や制度改定
まずは社員がLGBTQ+の基本的な知識を身に付け、視野を広げなければサポートもできません。当社では2019年から年に1、2回のペースでLGBTQ+のテーマに関する社員向けの勉強会を実施しています。実施に当たっては、電通グループ横断組織として「多様性」についての課題に取り組む電通ダイバーシティ・ラボ(DDL) の協力を得て、LGBTQ+の基礎知識やDDLが実施している調査結果について学んできました。また、LGBTQ+の方を講師に招き、当事者のリアルな声を聞くことで、どのような課題があるのか、どのようなサポートが求められているのかを具体的に理解する機会も設けています。
同性婚が認められていないなど、LGBTQ+の権利を守るための日本の法整備は十分ではありませんが、個々の企業ができることもあります。dentsu JapanがBME(Business for Marriage Equality)への賛同を表明したことに合わせて、当社においても本年、法律婚、事実婚、同性パートナーの区別を極力なくすための各種規則改正を行いました。具体的には結婚や介護に伴う休暇取得や祝金や見舞金の贈呈、転勤時での配偶者待遇などを同等にしています。
「電通PRC LGBTQ+ アライコミュニティ」の活動
当社では、2022年から社内の有志メンバーによる「LGBTQ+ アライコミュニティ」を結成、約20人のメンバーが定例会での情報共有や社内向けのメールマガジンの発行(月1回)、他社アライとの交流会、LGBTQ+に関するトークショーといったイベントの実施を行っています。また電通グループ会社社員でトランスジェンダーの外部アドバイザーにも参画いただいて、当事者視点から貴重なアドバイスをもらっています。
アライ(Ally)とは、LGBTQ+当事者たちに共感し、寄り添いたいと考え、支援する人のことで、「味方」や「仲間」、「同盟」を意味する英単語「ally」が由来です。プライド月間では、電通グループ企業でアライコミュニティを持つセプテーニ・ホールディングス、電通デジタル、電通北海道とのグループ内向け4社合同イベント「Online PRIDE」を6月末に開催予定です。
東京レインボープライド 2023
2023年4月22日(土)、4月23日(日)の2日間、東京都・代々木公園イベント広場において「東京レインボープライド(TRP)2023」が開催され、約24万人が来場しました。TRPはLGBTQ+をはじめとする性的マイノリティーの存在を社会に広め、「“性”と“生”の多様性」を祝福するイベントで、特定非営利活動法人東京レインボープライドが開催しています。今年の全体テーマは、「変わるまで続ける」。LGBTQ+の権利を守る法整備の遅れなど日本社会が多くの課題に直面している中、「できることは諦めずに変わるまでやり続ける」という意志を表しています。
TRPでは多くの協賛企業・団体がブースを出展しており、dentsuグループも6回目となる出展をしました。同ブースでは、「にじいろのガーデン」をテーマにLGBTQ+に関わる歴史的な言葉や近年の名言を花に込めて紹介し、言葉をプリントした花の形をしたカードを壁に貼り付け、来場者が好きなカードをはがして持ち帰れるようにしました。当社からもアライのメンバーを中心にブースボランティアとして活動しました。
プライド月間活動について思うこと
最後に。私がLGBTQ+の方にそうと認識して直接の接触を持ったのは大学生になってからです。当時(1980年代)は自分の理解も全然十分でなく、また社会的にも性的マイノリティーの人権について意識が低かったと思います。自分とは違う、物珍しい存在という気持ちが心の底にあり、相手に対して失礼なこと、傷つけるようなことを言っていたかも、と後になって深く反省しました。無知はもちろん、相手の立場を思う想像力の欠如というのは恐ろしいことだと思います。その反省も踏まえて、何かできることがあれば、本当に微力ですがやっていきたいし、そのような機会を与えてくれた会社のアライ仲間にも感謝しています。