各国の政治・経済動向が相互に影響を与えるグローバル社会において、諸外国の政策を早期に把握する必要性が高まっています。こうした背景を受け、当社は米国最大のアジア研究を専門としたシンクタンク「全米アジア研究所」(The National Bureau of Asian Research、以下NBR)と米国の対日経済政策の分析、対応・体制強化に関する協力関係を構築し、『ワシントン政策分析レポート』 を作成しております。
本レポートは、米国のアジア外交専門家と、当社のパブリックアフェアーズ専門家において12月に協議した内容に基づいて作成しております。『米国の外交、通商、エネルギー政策に関する2023年の見通し』と題した今回のレポートでは、米国の対中外交政策や通商政策、米国のエネルギー政策の最新動向についてまとめております。

 

■ エグゼクティブサマリー

本レポートは、2022年12月に米国のアジア外交専門家と、電通PRコンサルティングのパブリックアフェアーズ専門家の間で協議された内容に基づくレポートである。日本企業が特に注目すべき点として次の4点が挙げられる。

・米国は長期的にも、中国との競争が外交政策の枠組みとなっている。中国企業の米国への進出は厳しく規制されているため、投資が減少している。一方で、日米の同盟関係はすべての面でかつてない程、強固なものとなっている。

・バイデン政権の中国への半導体輸出規制は自国だけでなく、同盟国にも規制を求めるものであり、EU諸国からの反発が高まる可能性もある。

・米国は再生可能エネルギーの中で太陽光や風力発電に関心はあるものの、サプライチェーンの多くを中国が握っているため、セキュリティー面で難色を示す共和党議員が多い。最近では水素への関心が高まっているが、先行している日本は技術開発やサプライチェーンの構築で強みを示すことができるだろう。

・脱炭素において、日本企業が米国企業と進めているCCS/CCUSの技術開発を積極的に進め、事業化することは有効な施策である。