平成から令和へと時代が変わり、2019年も残りわずか。

世界的ビッグイベントが開催される2020年を目前に控えた2019年は、数々の新たな潮流が生まれています。

電通PRのアンテナ力とリサーチ力を駆使し、独自の視点から

「電通PRが選ぶ 2019 TREND REPORT」を作成しました。第1弾は「Z世代と新ライフスタイル」です。

このトレンドレポートが、新しい時代を読み解く手掛かりとなれば幸いです。

 


 

はじめに

マーケットにおける新たなメインカスタマー「Z世代」の攻略法とは?

ミレニアル世代のさらに下の世代Z世代」

「デジタルネイティブ」と表現されるこの世代は日本の人口の15%近くを占める。その思考プロセスや価値観はミレニアル層とも大きく異なり、その価値観は「フェアとシェア」

自分の嗜好だけでなく、社会にいいことを好み、情報やモノを囲い込まず共有する。

一方で自分向けのコンテンツにおいては個別最適化(パーソナライゼーション)された環境を好むようだ。そのためには自身の情報も惜しげなく公開、提供していく。

キャッシュレス市場や5G環境などの社会インフラ整備といった大きな環境変化と併せて、「ジェネレーションZ(=Z世代)」をどう攻略するかが今後のマーケティングの最重要課題といえるだろう。

井口 理 TADASHI INOKUCHI
執行役員

 

 

 

 


TREND REPORT

 

Z世代のポストモダニズム

すべては“フェア”と“シェア“の上に成り立つ。

真のデジタルネイティブである「Z世代」。彼らの登場により、今後10年で消費のルールが、人とのつながりや共感を重視するように変わると予想されている。

キーワードは、カスタマイズジェンダーフリー

アバターを自分好みに加工できる3Dアバターソーシャルアプリを使った写真がInstagramやTwitterで投稿され、世界中で拡散している。同性愛をカミングアウトする芸能人やモデルにもZ世代は寛容だ。

こうした傾向は、Z世代がソーシャルメディアを通してあらゆる情報にアクセスするのが当たり前であることから、世界中のさまざまな価値観に触れることができることも背景にあるだろう。

多様性に富んだ考え方を持ち、社会問題への意識も高いZ世代。その中心となるモノやコトは、フェアとシェアの上に成り立っている。


Z世代は、社会課題を自分ゴトとし多様な生き方を真剣に考えている


Z世代は、高校生の頃からスマホを所有し、世界のあらゆる情報に触れ、感性を磨いている



EXPERT INSIGHTS

多角的な個性のすべてを『自分らしさ』として認識するZ世代は、一緒に世界をより良くしていく上で頼もしい存在

草野絵美|EMI KUSANO

アーティスト・Satellite Young 主宰

 

 

 

私たちミレニアル世代が10代の頃、そしてZ世代の幼少期、マス・メディアの影響は 終焉(しゅうえん)を迎え始めた。時代は移り変わり、私たちの手の中には、膨大な量の情報がすっぽりと収まっている。

Zと呼ばれる彼らは、28歳の私以上に、皆それぞれが異なるコンテンツに少しずつ触れて育っていると考えられるため、彼らの価値観を一言では語るのは難しい。しかし、強いて言うならば、彼らZ世代の若者の多くは『自分らしさ』を大切にしているように思う。

例えば、『男らしさ・女らしさ』『若者らしさ』『オタクっぽさ』などのように、ラベルを貼られることに、多くのZ世代の友人たちは嫌悪を抱く。SNSに慣れ親しんでいる彼らは、おそらくSNS上で複数のアカウントを使い分けるのと同様に、学校での自分、趣味でつながった友達といる自分、ネット上での自分など、多彩な顔をどれも偽りのない本当の自分として認識しているのだろう。このように多角的な個性の数々をすべて『自分らしさ』として取り込むことは、誰もが同じ人間だということを認識した上で多様性を受け入れる度量へとつながっていく。

私が理想とする社会は、高度に発展していくテクノロジーとうまく向き合い、倫理観をアップデートし続けていく社会だ。そのためには、個々の違いを受け入れ合い、常に議論していく勇気が必要で、Z世代とも正直、世代間ギャップはまだそれほど感じていない。一緒に世界をより良くしていくのに頼もしい存在だと思っている。

 


 

超快適“キャッシュレス”生活

インフラが整うか?!

政府は、2025年までにキャッシュレス決済比率を4割に高めたい意向。それを受けて、キャッシュレス市場が盛り上がりを見せている。

昨年末に行われたキャッシュレス決済事業者による100億円規模の大規模還元キャンペーンは、社会に大きなインパクトを与えた。

キャッシュレス決済は、人材不足に悩むコンビニでも推進されているほか、インバウンドの取り込みをもくろむ地方にもその波が押し寄せている。富士山では、令和初の山開きから入山料のキャッシュレス化に対応。フェスなどのイベントでもスマホ決済システムの導入が進んでいる。

2019年10月より、消費税増税とともに、キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)もスタートした。

今後は、ビッグデータ活用をもくろむスマホ決済合従連衡も注目される。


スマホ決済も日常化する中、気がつけば、現金を使わなかったという日も


キャッシュレストレンドによって、人気の財布は長財布から小型へと変わった


EXPERT INSIGHTS

キャッシュレスは、ガバナンスイノベーション、社会システムの大規模なリデザインの一環

若林 恵│KEI WAKABAYASHI

エディター/黒鳥社 (前 WIRED日本版 編集長)

 

 

国がキャッシュレス化を推進することの基礎的な意義は、現金の運用コストやそれがもたらすリスクを低減させることにあって、現金経済であるがゆえに捕捉できない お金の行方や流れを可視化し、徴税対象として管理することなども、そこには当然含まれている。実際に中国政府は、請求書・領収書の水増し発行による税収減に悩まされていた。

あらゆる会計の透明化・自動化は、行政コストの削減だけでもそれなりの効果をもたらすと考えられるが、ビジネス全体を見ても煩雑な会計業務が圧縮されることにも 大きな意義はあると考えられる。ただしそれを実現するためには、基礎的な要件として請求書・領収書・署名の規格化・統一化が必須であり、当然それを支えるインフラとしてデジタルIDの普及も大前提だ。

キャッシュレスは第一義的にはガバナンスイノベーション、もしくは社会システムの大規模なリデザインの一環として理解されないと、その意義のみならず、それがもたらしうる本質的な課題や問題をも見失うことにもつながりかねない。法定通貨以外のお金の可能性と課題についても同様であるように思う。

 


 

ヒアラブルマーケット1.0

耳を起点としたビジネスが広がる

スマホなど目からの情報収集が限界になるなか、完全ワイヤレスフォンやハイレゾ音楽ストリーミングサービスなど、耳まわりの情報収集にビジネスが拡大している。

来年春に第5世代(5G)移動通信システムが商用化されれば、音の世界も格段に変化するだろう。
ライブ会場にいるかのような気分を味わえる大容量・高品質なコンテンツが普及してくるかもしれない。

デバイスとインフラの進化とともに、聴覚情報ビジネスが今後、さらに伸びていくとみられる。

声は、デバイスを経由して目の前に現れるあらゆる情報を瞬時に耳に届けてくれる。書籍や新聞などでも、これから「読む」から「聞く」のを好む人が増えるだろう。こうした人に優しいデバイスは、普段の生活を便利にしてくれるだけでなく、高齢者や視覚障がいなどをもつ人のQOLの向上にもつながる。

(写真はイメージ)

 

 電通PRが選ぶ 2019 TREND REPORT 編集チーム
細田 知美 TOMOMI HOSODA
ビジネス開発局

柏木 政彦 MASAHIKO KASHIWAGI
情報流通デザイン局

渡邊 悠紀 YUKI WATANABE
情報流通デザイン局

小倉 真由子 MAYUKO OGURA
情報流通デザイン局

中沢 麻衣 MAI NAKAZAWA
情報流通デザイン局

 


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