当社の誇る危機管理研修プログラムの中で最も頻繁にご依頼を受けるのが「記者会見トレーニング」です。規模はさまざまで、また他のトレーニングと組み合わせることもありますが(例えば緊急対策本部のシミュレーションを経て会見に至る)、おおよそ年間40件程度のペースで実施させていただいております。


記者会見トレーニングの特長1「シナリオ」

決してパターン化したものではなく、どういった事象が発生して記者会見開催を余儀無くされるかといった皮膚感覚のある現実的なシナリオを、お客様と一緒になって、キャッチボールしながら作成します。

工場火災、製品回収、社用車での事故、情報漏えい等の凡そのテーマが決まったら、次のステップは当該部署からのヒアリングです。自分の部署から不祥事が起こるなんて誰だって不愉快ですから、「こんなことが起きるわけがない」「それは今のセキュリティシステム上不可能」といった形でご担当の方には多少いやな顔をされることになります。とはいうものの、そこはそれ、どんなに万全な態勢をとられていても実際の事故や事件は、組織を構成する人々のちょっとした悪意や誤魔化しに端を発して、思わぬことが見事に複合的にからまって発生するもの。
ですので、当社のスタッフは微に入り細に入りじっくりとお話をうかがいます。

こうして綿密なシナリオを作っていく過程で、思わぬ危機管理態勢の「穴」を発見したりすることで、お客様に当社の存在意義を改めてご認識いただくことがあります。


記者会見トレーニングの特長2「本番に仕掛けられた罠」

トレーニングですので、我々は必要以上に、そして実際以上に、スチールカメラが登壇者に対しフラッシュをパシャパシャ焚きまくり、高いところからはスタンドの照明が強い光で容赦なく照らし続けます。これらのせいで、頭が真っ白になって、折角頭に入れてきていただいた想定問答や留意事項がすっ飛んでしまうことになります。さらにスチールカメラマンは、いやがる登壇者をものともせずに、背後に回りこんで机上の書類(メモだの、Q&Aだの)を写しまくります。
一方、聞き取りにくい声で質問する模擬記者、ややこしい質問を一遍に3つぐらい束ねて投げかける模擬記者、会見が終了しても怖い顔で「社長、まだ質問は終わってませんよ!」と執拗に食い下がる女性模擬記者、正義感だけで燃え上がる若い模擬記者、などなどさまざまなキャラクターをテーマやシナリオに合わせてご用意し、登壇者を振り回します。

以上、あれこれ少々大げさにご紹介して参りましたが、「あのような場に登壇するのはもうこりごりだ!」と思われては元も子もありません。本当に重要で、お客様にトレーニングで一番習得いただきたいのは、決して「弁解」ではなく、きちんと相手に納得感(=そういうことだったのか・・・、それならわかる・・・)を与える、「説明」する力です。その意味では、決して“立て板に水”で話す必要はありませんし、雄弁さは時には害になります。どこかの渋い俳優のように、かっこ良く頭を下げる必要もありません。ぽつりぽつりとした朴訥な話し方や、ぎこちない頭の下げ方にこそ誠意を感じる事も多々あります。

しぶしぶ記者の前に引き出された、といった“受け身”になることなく、事前に準備されたキーメッセージ、すなわち今日この場で、メディアとその背後にいる読者や視聴者に伝えなければならない事柄を、誤解や曲解なく、分かり易く、正確に説明できているかどうかを、我々“第三者の眼”がじっと見つめています。

我々が実際の有事の記者会見をさまざまな形でお手伝いさせていただく中で経験、体感、蓄積してきたノウハウにさらに磨きをかけ、これを各種トレーニングに反映させていくことで、さらに多くのお客様のお役に立てればと思っています。

お客様の「体験しておいてよかった。」という一言が、我々の何よりの活力の素です。