各国の政治・経済動向が相互に影響を与えるグローバル社会において、諸外国の政策を早期に把握する必要性が高まっています。こうした背景を受け、当社は米国最大のアジア研究を専門としたシンクタンク「全米アジア研究所」(The National Bureau of Asian Research、以下NBR)と米国の対日経済政策の分析、対応・体制強化に関する協力関係を構築し、『ワシントン政策分析レポート』 を作成しております。
本レポートは、米国のアジア外交専門家と、当社のパブリックアフェアーズ専門家において7月に協議した内容に基づいて作成しております。『米国の対中・東アジア政策の動向と今後の見通し』と題した今回のレポートでは、米国の対中外交政策や通商政策、米国のエネルギー政策の最新動向についてまとめております。

 

■ エグゼクティブサマリー

本レポートは、2023年7月に米国のアジア外交専門家と、電通PRコンサルティングのパブリックアフェアーズ専門家の間で協議された内容に基づくレポートである。日本企業が特に注目すべき点として次の4点が挙げられる。

・中国の経済環境の悪化が地方政府の財政に大きな影響を与えており、雇用や社会的な安定への悪 影響が今後懸念される。

・中国の法規制の強化により外国企業が現地での事業展開が難しくなり、事業撤退などが相次いでいる。加えて、相次ぐ外国人就労者の拘束・逮捕が続き、投資リスクの高まりと合わせ、グローバル企業にとって事業継続の困難性が増している。

・バイデン政権の対中政策はこれまでの関与政策をやめ、国家安全保障を確保しながら、経済的な利益を得るべきだという枠組みへと転換している。日本政府が進める経済安全保障、サプライチェーンの組み替えと歩調を共にしている。

・米国側には日本との間には安全保障および経済面において大きな問題はなく、関係性は良好との認識。