【最新調査】高エンゲージメント層でも、20代の3人に1人が転職を検討。~20代社員の定着・活躍に、人事と広報ができること~

clock 2026.11.04
【最新調査】高エンゲージメント層でも、20代の3人に1人が転職を検討。~20代社員の定着・活躍に、人事と広報ができること~

会社への信頼や愛着が高い社員は、これからも働き続けてくれる。そう考えて、エンゲージメントの向上に取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。ところが、最新の『インターナル・ブランディング®調査2026』で、20代の高エンゲージメント層でも、3人に1人が転職を検討していることが明らかになりました。この結果を、自社の社員(特に、若手層)の定着・活躍を考える上でどう受け止めるべきでしょうか。

本記事では調査による発見について紹介し、自社の全体像を正確に把握すること、そして社員の声から背景を掘り下げ、具体的な取り組みにつなげることの重要性を考えます。

目次

  1. 1.20代は、高エンゲージメント層でも3人に1人が転職を検討する時代に
  2. 2.定着と活躍を考える手掛かりは「やれてる感」と「自社らしさ実感」
  3. 3.自社の20代社員が何を感じているかを把握する
  4. 4.比較分析によって自社の特徴と課題を見極める
  5. 5.さらに『AI音声インタビュー™』で数字の背景にある経験を掘り下げる
  6. 6.広報と人事が連携して把握から実行につなげる

20代は、高エンゲージメント層でも3人に1人が転職を検討する時代に

企業広報戦略研究所(電通PRコンサルティング内)は、社員300人以上の企業に勤める20〜60代の男女2,000人を対象に、『インターナル・ブランディング®調査2026』を実施しました。今回は、深掘り分析のために追加調査した20代1,000人の結果をご紹介します。

本調査では、企業と社員の絆を表すエンゲージメントを「信頼」「愛着」「誇り」「貢献」の4つの観点から測定しています。自社を信頼している、自社に愛着を感じている、自社に誇りを感じている、自社に貢献したい、という4項目全てに肯定的に答えた人が「高エンゲージメント層」です。

20代の高エンゲージメント層の割合は39.6%でした。そのうち33.6%が「できるだけ早く転職したい」または「いずれは転職したい」と回答しています。会社に前向きな思いを持ちながらも、別の会社で働くことを考えている人がいるのです。

一方、低エンゲージメント層は全体の60.4%。転職意向は55.0%で、高エンゲージメント層より高い結果でした。会社との絆は、引き続き大切な観点です。若手社員の定着・活躍を図るには、そうしたエンゲージメントの高さに加えて、働き続けたい気持ちや日々の仕事の実感まで捉える必要があると考えられます。

 

定着と活躍を考える手掛かりは「やれてる感」と「自社らしさ実感」

では、20代の働き続けたい気持ちは、何と関係しているのでしょうか。今回、仕事の成果や役割の達成など、働き方に関する5項目と継続勤務意向との関係を分析しました。最も強い正の関連が見られたのは、「この会社で自身の強み・能力を十分に発揮できている」という実感でした。本調査では、これを「やれてる感」と呼んでいます。

もう一つの手掛かりが、「自社らしさ実感」です。本調査では、自社の企業文化を「温かい」「挑戦的」「規律を大切にする」などの50以上の言葉から選んでもらい、回答を「家族文化」「官僚文化」「マーケット文化」「イノベーション文化」の4タイプに分類しました。いずれかの企業文化に当てはまる言葉を選んだ人では、「やれてる感」がある人の割合は63.0〜67.8%でした。一方、企業文化が「特にない/わからない」と答えた人では33.3%でした。

この結果は、特定の企業文化が優れていることを示すものではありません。注目したいのは、社員が自社の文化をどう認識しているかという点です。自社にはどのような特徴があり、その中で自分はどのように強みを発揮できるのか。会社への思いと仕事の充実感を併せて見ることが、定着と活躍を考える手掛かりになります。

 

自社の20代社員が何を感じているかを把握する

この結果を読んで、自社の若手社員にも当てはまるのだろうか、と感じた方もいるのではないでしょうか。今回の調査結果は、自社の状態を確かめるための問いを与えてくれます。

例えば、会社への愛着は高いものの、今の仕事では強みを十分に生かせていない社員がいるかもしれません。企業理念は知っていても、日々の仕事とのつながりが見えない社員もいるかもしれません。こうした状態は、個社のエンゲージメントスコアだけでは捉え切れない可能性があります。

20代を中心に社員のエンゲージメントを把握する際には、会社への思い、活躍の実感、継続勤務意向を組み合わせて見ることが重要です。さらに部署や職種、勤続年数などによる違いも確認することで、どこから取り組むべきかが見えやすくなります。

 

比較分析によって自社の特徴と課題を見極める

自社の社員のエンゲージメントを客観的に把握する上で重要なのが、全国のビジネスパーソンの平均値との比較です。電通PRコンサルティングでは、全国のビジネスパーソンを対象に実施した『インターナル・ブランディング®調査』の結果を基準として、各企業の社員のエンゲージメントを定量的に調査・分析することが可能です。

すでにエンゲージメントサーベイを実施している企業でも、社内比較や経年変化に加え、全国平均との違いを捉えることで、自社ならではの強みや課題をより明確に把握できます。本調査では、会社への信頼・愛着・誇り・貢献意欲に加え、仕事のやりがい、理念と日々の仕事のつながり、上司・同僚との関係、継続勤務意向などを把握します。全国調査と共通の設問・指標で比較し、さらに年齢や部署などでクロス分析することで、全社平均だけでは見えにくい特徴や課題も浮かび上がります。

例えば、「会社への愛着は高いが、働き続けたい気持ちは弱い」「理念は理解していても、仕事や判断に結び付いていない」といった状態です。さらに、職場の関係や仕事の実感が、エンゲージメントや継続勤務意向とどう関連しているかも確認できます。こうした比較・分析を通じて、自社の社員のエンゲージメントの全体像を客観的に捉え、どの層の、どの課題から取り組むべきかを見極めます。

さらに『AI音声インタビュー™』で数字の背景にある経験を掘り下げる

定量調査によって自社のエンゲージメントの特徴や課題が明らかになっても、その背景にある理由までは十分に把握できません。そこで有効なのが、社員一人一人の声から、数字だけでは見えない本音や経験を掘り下げる当社サービスの『AI音声インタビュー™』です。

社員向けの『AI音声インタビュー™』では、仕事にやりがいを感じる瞬間や、自身の強みを発揮できた経験、会社への信頼や愛着が高まった・弱まった出来事、企業理念と日々の仕事とのつながり、上司・同僚との関係、働き続けたい理由や転職を考える背景などを、AIとの対話を通じて掘り下げます。

最大の特徴は、アンケート調査のように多くの社員から幅広く声を集めながら、人による1対1のインタビューのように、一人一人の回答に応じて「なぜそう感じたのか」「具体的にどのような経験があったのか」などを深掘りできることです。さらに、人間の聞き手に対する遠慮や評価への不安を和らげることで、普段は口にしにくい本音も引き出しやすくなります。

こうして集めた社員の声を横断的に分析することで、例えば「同じように会社への愛着が低くても、その理由は部署によって異なる」「異なる部署で働く社員が、共通の課題を感じている」といった、定量調査だけでは見えてこない実態を明らかにします。

回答の匿名性に配慮し、人事評価には使用しないことを明示した上で、定量調査で「何が課題か」を捉え、『AI音声インタビュー™』で「なぜその課題が生じているのか」を掘り下げる。 この二つを組み合わせることで、社員の定着・活躍に向けて優先的に取り組むべき課題を、より具体的に見極めることができます。

調査やインタビューで集めた声には、強みだけでなく、戸惑いや期待も含まれます。それらも受け止め、これからどのような会社にしていきたいのかを社員と考えることが重要です。そのナラティブは、社内での対話や発信に加え、実際の社員の経験に根差した採用コミュニケーションにも活用できます。

 

広報と人事が連携して把握から実行につなげる

社員の定着・活躍を考えるには、人事が担う仕事や育成の設計と、広報が担う企業理念や自社らしさの共有をつなぐことが重要です。共通の調査結果と社員の声を基に課題を整理すれば、両部門が同じ目的に向けて取り組みを設計しやすくなります。

当社のインターナル・ブランディング®は、社員が自社の価値や魅力を理解・共感し、日々の仕事を通じて体現・発信できる状態を目指す取り組みです。比較可能なエンゲージメント調査を入り口に、『AI音声インタビュー™』による背景の探索、ナラティブを活用したコミュニケーションの設計へとつなげ、企業と社員の関係づくりを支援します。

自社の20代は、会社にどのような思いを持ち、強みを発揮できているのか。「調査は実施しているが、結果を施策につなげられていない」「自社の特徴を外部と比較して把握したい」といった課題をお持ちの方は、ぜひご相談ください。現在の調査や取り組みを伺いながら、自社の状態を把握するための分析と、その先の進め方を一緒に考えます。


【調査概要】
企業広報戦略研究所『インターナル・ブランディング®調査2026』/全国の20〜60代の男女2,000人を対象としたインターネット調査/対象は社員300人以上の株式会社の勤務者/実施期間は2026年5月15日〜21日
※調査結果のリリースはこちら(https://www.dentsuprc.co.jp/news/20261104/)
※本記事では、主に深掘り分析用に追加回収した20代1,000人(男女各500人)の結果を紹介しています。
※「インターナル・ブランディング®」は、株式会社電通PRコンサルティングの登録商標です。

※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。

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統合コミュニケーション局コーポレートコミュニケーション部シニア・チーフ・コンサルタント

石井 裕太

2001年新卒入社。以来、企業・行政・大学・非営利組織など、1,000以上のクライアントと多様なステークホルダーとの関係づくりに従事。現在は「コーポレート・ブランディング・ユニット」を統括し、社会的&経済的インパクトの両立を目指すブランディング戦略領域全般に携わる。企業や自治体向けの研修講師のほか、ワークショップの開発やファシリテーションなども。公共政策修士。

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