国慶節、すなわちゴールデンウィークという考え方が定着して以来、10月1日の国慶節はただ政治化された祝日に過ぎなくなっていた。
特に昨年、5月1日からのゴールデンウィークがなくなって以後、10月1日の祝日は長期休暇の代名詞となった。
しかし今回の建国60周年にあたって、一連の多くの祝賀行事を通じて、中国の建国後の成果を知るだけでなく、今回の国慶節は国民に「国の慶事」として、さらに国家に対して新たな認識をもたらす祭典となった。

式典は国慶節がもつ政治的な意義、主にその方法を表現する。その中で閲兵式と国民のパレードは、この式典最大のイベントとなり、最も注目を浴びるプログラムとなった。
閲兵式は1949年の建国以来、継続して続いてきた伝統行事で、その主な目的は、中国の軍事国防力を提示し、国民に安全感と自信をもたらすことにある。
この儀式は過去24年間中止となっていたが、1984年復活して以来、これら伝統儀式は、形式、内容に変化があったが、毎年、国家理念を伝える基本的かつ具体的な方法となっている。

1984年女性兵士の最初のパレードは、国民に国の新しいイメージを与えただけでなく、女性の軍事領域での地位向上をアピールすることとなった。
今回の 60周年の閲兵式では、女性兵士が初めて陸海空三軍でパレードし、この変化は無言で中国の軍事力や軍事観念の新しい概念傾向を伝えることとなる。
今年の国慶節の閲兵式では、女性兵士以外に各軍の最新兵器や航空及び特殊武装状況を紹介する予定で媒体と国民の関心を引いた。先週の中国青年報の社会調査センターは、全国の31省(区、市)16102人に対して調査を行った。
その調査によると94.1%の人が今年の閲兵式に期待しているという結果が出ている。調査では65.8%の人は「大変期待している」28.3%の人は「期待している」と回答している。
多くの人が今回の金融危機後すぐ行われる国慶節を、中国が着実に回復しているというはっきりした事実として捉えている。

閲兵式のほか、国民のパレードも今回の国慶節の行事の中で大変注目を浴びている。国民のパレードは民衆の気持ちの表現であり、社会のフィードバックである。実際、閲兵式が中止された1960年から1970年の10年に、国民のパレードは中止されたことはなかった。
この行事は形式上、閲兵式のように人の気持ち奮い立たせることはないが、その活動は社会的な意思意識表現としてきわめて深い意義がある。国民のパレードのスローガンを例にとると、1950年は「偉人像」、1969年は毛沢東自らの「戦争に備える」というスローガン、また1984年は北京大学の学生が作った。
「小平こんにちは!」のスローガンであった。これはきわめて親しみのこもった良い芸術性のあるスローガンとなり、その年の国民パレードで最も注目を浴びた。今年の国民パレードのテーマは、「私は祖国と共に前進する」であり、その国民のパレードは国民に大きな喜びと感動をもたらした。

国慶節とゴールデンウィークが一緒となった「10・1」。この数字は、更に多くの経済的意義をもたらす。
政府の祝日改革の後、10・1の黄金週間は一年で最も重要な長期休暇の一つとなった。小売販売、旅行、文化産業を活発化する動きが顕著に見られる。
個人営業や消費者に対しては「10・1」は消費の面での黄金週間となった。今年の「10・1」は、中秋節とぶつかり、国慶節と二つの祝日が重なった。
各種準備された行事は、往年に比べれば、はるかに充実している。
この商売上のチャンスを利用し、大手の商業施設で各種行なわれるイベントは、消費者の関心を集めることとなる。

今回の国慶節の主な観光地として北京では、この機会を利用し200余の観光プログラムを準備し観光客を誘致した。旅行客誘致のイベントには歴史、文化、飲食、自然旅行ツアーなど多くの要素が含まれており、至れり、つくせりであった。
経済上の効果のほか、国慶節は文化思想の領域でも同様に深い影響を持つ。新中国の誕生として、「10・1」は、中国人の心の中に具体的意識としてさらに深く根づく。
今年は国慶節と中秋節の二つの祝日が重なったため、国、家の関係、また社会と国民の関係をしっかり結びつけることとなる。
国慶節に関して、過去60年の国家建設の種々の回顧と将来の展望に関する報道が、相次いで行われたが、国民は、自国に対する誇りの年と同時に、国の未来建設に対して更に多くの感慨と希望を持つ。

中国青年報社会調査センターの調査で、約72.3%の人が自国に誇りをもち、同時に「中国の最大の挑戦は「反腐敗」と「貧富の差の縮小」であるとしている。この積極的な姿勢は一方で近年、国民の資質が向上していることを示している。
同時に国民と国家の責任意識が向上していることを表している。今回建国60周年の国慶節は過去の60年の成果の回顧であり、未来に対する展望でもある。
それは国民が待ち焦がれ希望していたことである。国慶節は中国の未来の建設のために、政治、経済と文化思想上の影響は中国の未来発展の重要な要因であるといえる。