読売テレビ 朝の新番組「テッパン朝ライブ じゅーっと!」のチーフプロデューサーに聞く、関西目線の番組づくり
2025年秋、読売テレビは15年以上続いた朝の情報番組「す・またん!」を終了しました。番組終了は単なる改編ではなく、会社全体として朝の情報番組を一度リセットし、新たな形でスタートするという大きな決断でした。
その後は、日本テレビ「ZIP!」の一部分で関西ローカル枠を放送しながら、新番組の準備を進め、2026年3月30日、「じゅーっと!」をスタートさせました。
関西の朝には、46年以上にわたり地域に根付いてきた朝日放送の「おはよう朝日です」という存在があります。長く続いた番組を単にリニューアルするのではなく、強い視聴習慣を持つ番組に追い付くために、番組の在り方を一から見直すタイミングだと判断しました。その中で改めて問い直したのは、「読売テレビだからこそ届けられる朝の情報とは何か」ということでした。
全国ネット番組をそのまま放送するという選択肢もありました。しかし、全国ニュースだけでは十分に伝え切れない関西の話題や、関西の視聴者にとって身近な情報を、関西のテレビ局の視点で届けることにこそ、番組の存在意義があると考えました。こうした議論を経て誕生したのが、「じゅーっと!」です。
16年ぶりの朝番組刷新 ローカルの朝に、改めて向き合う
「じゅーっと!」は、「『かんさい』が見える、『かんさい』で会える朝番組」をコンセプトに掲げています。
番組が目指しているのは、全国で起きたニュースをそのまま伝えることではありません。関西の視聴者にとって身近で価値のある情報を、自分たちの視点で届けることで、「この番組だから見たい」と思ってもらえる存在になることを目指しています。
現在、関西の朝に独自の情報番組を放送しているのは、「おはよう朝日です」と「じゅーっと!」のみです。
朝の時間帯は、一度視聴習慣が定着すると簡単には変わりません。そのため、新しい番組が視聴者の日常に浸透するには、一定の時間が必要です。短期的な結果だけを追うのではなく、毎日の放送を積み重ねながら、少しずつ信頼を築いていきたいと考えています。
そのために意識しているのが、視聴者が番組を見た後、学校や職場で誰かに話したくなる情報を届けることです。「今日、こんなニュースを見た」と会話が生まれるような番組であることも、朝の情報番組が提供できる価値の1つだと考えています。
全国の出来事を、関西の「自分ごと」に変える
「じゅーっと!」が番組づくりで最も重視しているのが、「関西目線」です。全国ニュースを関西の視聴者にとっての「自分ごと」に置き換えることで、情報との距離を縮めることを目指しています。国際情勢や政治、経済などの全国的なニュースであっても、単に出来事を伝えるのではなく、関西の企業や経済にどのような影響があるのか、関西で暮らす人にとって何が変わるのかという視点を加えて伝えています。
ニュース自体に地域性がない場合にも、人物、企業、商品、社会への影響などから、関西との接点を見いだせないかを意識しています。エンターテインメント情報においても、出演者の出身地や関西とのゆかりを紹介するなど、視聴者に親しみを持ってもらえるよう工夫しています。
また、月曜日から木曜日には読売テレビの解説委員がスタジオに出演し、新聞各紙の記事も活用しながら、ニュースの背景や意味を掘り下げています。情報を並べるだけではなく、「なぜ今、このニュースが重要なのか」まで分かりやすく伝えることも、番組の特徴の1つです。
関西と一口に言っても、大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山では、地域性や生活者の関心が異なります。取材先や情報量の関係から大阪の話題が多くなりやすい一方で、京都や兵庫をはじめ、関西各地の情報にも目を向け、関西全体を見渡した番組づくりを意識しています。関西2府4県という広域をカバーし、それぞれの地域の出来事を関西全体へ届けられることは、準キー局である読売テレビならではの役割だと考えています。
五つの専門チームと局内連携が支える、毎朝の番組づくり
「じゅーっと!」の制作には、読売テレビの社員と外部の制作会社スタッフを合わせて約80人が関わっています。
早朝番組は勤務時間が特殊で、スタッフの労働環境にも配慮しながら制作体制を組む必要があります。加えて、現在は番組の立ち上げ期であることから、さまざまな企画や取材に挑戦できるよう、意識的に人員を確保しています。
制作チームは、主にオンエア進行、ニュース、エンターテインメント、スポーツ、天気・中継の五つに分かれ、それぞれが専門性を持ちながら連携し、毎朝の放送を支えています。
ニュース取材では、読売テレビの報道局や京都・神戸などの取材拠点から集まる情報を活用しながら、「じゅーっと!」独自の取材も週に数回行っています。台風や大規模事件などの際には、報道局の中継体制を活用するなど、局全体の取材力を生かして、その日の朝に必要な情報を届けています。
スポーツやエンターテインメント分野でも、局内の各部門や東京の取材チームと連携しながら取材を行います。また、番組のアナウンサーが現場へ足を運んでインタビューを行うなど、独自の取材も取り入れています。

※「じゅーっと!」のコーナー(2026年9月現在)
出典:https://www.ytv.co.jp/juutto/corner/
関西を軸に、地上波以外での発信にも力を入れる
「じゅーっと!」では、番組の一部をTVerで配信するほか、読売テレビの公式YouTubeチャンネル「読売テレビニュース」でもコンテンツを発信しています。
前番組の「す・またん!」では、地上波以外での発信を番組戦略の中心には据えていませんでしたが、新番組の立ち上げを機に、デジタルを活用した発信にも力を入れるようになりました。放送エリア内での視聴機会を広げるだけでなく、関西以外の視聴者にも番組の存在を知ってもらうことを意識しています。
これまで十分に取り組めていなかった関西以外への発信についても、新番組を機に改めて強化しています。一方で、番組の根幹にあるのは、あくまで関西の視聴者に向けた情報発信です。関西に根差した番組であるという軸を大切にしながら、地上波以外の接点を通じて、より広く番組を知ってもらうことを目指しています。
また、新番組であることから、メインMCを務める西山耕平アナウンサー、林マオアナウンサー、中村秀香アナウンサーの3人は、関西各地でのロケやイベントへの参加を通じて、視聴者に顔と名前を覚えてもらうための活動にも力を入れています。
デジタルを通じて関西以外にも番組の存在を届ける一方、関西では中継やイベントを通じて視聴者との接点を増やす。こうした両面から、新番組の認知拡大に取り組んでいます。
プレスリリースやSNSを起点に、番組独自の企画へ
各チームでは週に1回程度、班ごとに会議を開き、プレスリリースやSNSで話題になっている情報などを基に、企画の検討やネタ出しを行っています。
プレスリリースは届いた段階でスタッフ間に共有され、番組で取り上げられる内容か、どのような切り口で企画にできるかを検討しています。
SNSで注目されている情報についても、そのまま放送に使用するのではなく、話題になっている事象を起点に追加取材を行い、番組独自のコンテンツとして伝えることを重視しています。
また、ニュースコーナーで扱う情報は、事件・事故や政治、経済などに限りません。企業から提供された情報であっても、トピックスとして面白さがあり、“今”視聴者に伝える価値があれば、取材・放送の対象になります。
例えば、新たに開業するホテルの情報は、ニュースとして紹介することも、情報企画として展開することもできます。企業の商品やサービスも、社会の動きや生活者の関心と結び付けることで、ニュースや企画として取り上げる可能性が広がります。
地域外の企業が情報提供で押さえたいこと
関西のニュース・情報番組への情報提供で重要なのは、関西との接点を明確に示すことです。
関西限定の商品やサービス、関西出身の著名人の起用、大阪・京都・神戸など関西で開催されるイベントは、地域との関連性が分かりやすく、番組スタッフの目に留まりやすい情報です。情報提供の際には、プレスリリースの本文だけでなく、メールの件名やリリースの見出し、案内の冒頭部分にも、関西との関連性を盛り込むことが重要です。日々多数の情報が寄せられる中で、関西で取り上げる理由が早い段階で伝わると、内容を検討してもらいやすくなります。
東京で開催されるイベントや全国向けの企画であっても、関西ゆかりの企業や人物が登場する場合や、関西の生活者に影響する内容を含む場合には、取り上げる可能性があります。単に「関西でも展開する」と伝えるだけでなく、関西の生活者にとってどのような意味や影響があるのかを具体的に示すことが必要です。
また、暑熱対策や防災といった季節性・社会性の高いテーマは、地域を問わず視聴者に関わる「自分ごと」として取り上げられやすく、関西との直接的な接点がなくても、番組が独自に取材・紹介する場合があります。その場合も、関西で取材できる企業や場所、生活者、専門家などを併せて提示できると、番組として取材を組み立てやすくなります。

まとめ:変化する地方テレビ局を捉えた、企業広報の三つのアクション
地方テレビ局を取り巻く環境が変化する中、企業広報においても、地方局への情報発信の在り方をアップデートしていくことが求められます。吉田氏の話を踏まえ、意識したいアクションは大きく三つあります。
一つ目は、全国一律の情報を「地域の自分ごと」に翻訳することです。単に「○○地域でも発売」と伝えるだけではなく、その商品やサービス、企業の取り組みが、その地域の生活者にとってどのような意味を持ち、暮らしにどのような影響を与えるのかまで提示することが重要です。
二つ目は、地方テレビ局が「取材を広げられる材料」まで提供することです。商品やサービスそのものの情報に加えて、地域で取材できる店舗や生活者、専門家、地域に関連するデータ、映像素材などをセットで提供することで、地方局が地域の視点から企画を組み立てやすくなります。こうした情報提供を積み重ねることが、局の企画化を助けるだけでなく、「このテーマならこの企業」と想起してもらえる継続的な関係づくりにもつながります。
三つ目は、地方での露出をゴールにせず、「その先の波及」まで考えることです。地方テレビ局でニュースとして取り上げられることを一つの起点と捉え、系列局や全国番組への展開に加え、TVerやSNSなどを通じた放送エリア外への波及まで視野に入れて、情報発信を設計することが重要です。
地方テレビ局が地域に根差した情報発信を軸としながら、デジタルなどを通じて放送エリア外にも接点を広げる中、企業側にも、地方での露出だけをゴールとするのではなく、「地域でどう伝わるか」と「そこからどう広がるか」の双方を意識した広報活動が求められています。
テレビ番組へのアプローチを検討している方は、ぜひ電通PRコンサルティングまでご相談ください。