ソーシャルメディアやデジタル広告、Webサイトなど、デジタルなくして効果的なPRを成し遂げるのが難しい現在。電通PRコンサルティングでは、デジタルPRを「Social Experience」「Interface Design」「Digital Distribution」「Content Generation」という四つのテーマに分け、それぞれのテーマでデジタルPRを研究しながらPRの手法を日々アップデートしています。
今回は「デジタルPR」のプランニングを手掛ける新井、斉藤、鶴岡、深谷、山崎の五人が、デジタルPRに関する四つのテーマの取り組みや、また仕事の原点となるデジタルとの思い出について語りました。前編では四つのテーマについて深掘りしていきます。
【Profile】
新井健太：アライケンタ
統合コミュニケーション局 デジタルアクティベーション部 部長
全体統括
https://dentsuprc-recruit.jp/people/arai
斉藤裕：サイトウユタカ
統合コミュニケーション局 カスタマーエクスペリエンス部 部長
「Interface Design」チームリーダー
https://www.dentsuprc.co.jp/pr/trend/20220801.html
鶴岡大和：ツルオカヤマト
統合コミュニケーション局 コミュニケーションデザイン部
「Social Experience」チームリーダー
https://dentsuprc-recruit.jp/people/tsuruoka-yamato
深谷朋宏：フカヤトモヒロ
統合コミュニケーション局 デジタルアクティベーション部
「Digital Distribution」チームリーダー
https://dentsuprc-recruit.jp/gallery/digitalpr
山崎珠里：ヤマザキジュリ
統合コミュニケーション局 デジタルアクティベーション部
「Content Generation」チームリーダー
https://dentsuprc-recruit.jp/gallery/digitalpr
当社全体のデジタル標準装備化を推進するため、各領域のスペシャリストが集結
――今回、どんなメンバーが集まったのか、改めてそれぞれ簡単に自己紹介をお願いします。
新井：私は普段、デジタルPRを推進するデジタルアクティベーション部で部長を務めており、電通PRコンサルティング内でのデジタルPR社内横断ユニットのまとめ役も兼任しています。デジタルなくして効果的なPRが難しい中、当社社内でも全社員がデジタルの手法を扱えるのがベストだという考えがありました。そこで、デジタルの全社標準装備化を進めていくことになったわけですが、やはり中心となる人物やチームが必要だと感じ、今日集まっているメンバーがユニットのチームリーダーを担っています。
統合コミュニケーション局 デジタルアクティベーション部 新井健太
山崎：私も普段は、新井と同じ部署に所属し、とくにソーシャルメディアを使ったPRのプランニングや企業アカウントのコンサルティングを担当しています。中途入社で電通PRコンサルティングに入り、前職はニュースサイトの広告施策のプランニングをしていました。その前職でのソーシャルメディアを使った施策の成功体験や、そもそもソーシャルメディアやデジタルがとっても好き！という気持ちから、この領域をもっと極めたいと思い電通PRコンサルティングに入社し、日々デジタルPR業務に励んでいます。
深谷：私も普段は、新井や山崎と同じ部署で、ソーシャルメディアやインフルエンサーを主軸としたPR施策の企画・実行をメインで担当しています。新卒で入社し、営業セクションを経て、デジタルPRを専門とするデジタルアクティベーション部が立ち上がるタイミングで異動しました。各ソーシャルメディアのトレンドを追いかけながら、どう工夫すればデジタル上で情報を届けられるかを考える今の仕事では、結果として誰かが喜んでくれたり、少しでも救われたと言ってもらえるがうれしいです。
鶴岡：深谷と同期入社で、世の中に対してどうコミュニケーションを取っていくのか、全体方針を考えるコミュニケーションデザイン部に所属しています。もともと調査系の部署にいて、ソーシャルメディアの投稿や動向を分析する業務を中心にやっていたこともあり、一日2万件以上の投稿を見ている日もありました。ソーシャルメディアを長時間見るのが苦じゃなく、あんまり気持ちが持っていかれないタイプなんです。そこから現在は、ソーシャルメディアの動向やインサイトに詳しい人ということで「ソーシャルハンター」を名乗り、世の中や生活者の気分の移り変わりを分析しながら企画に生かしています。
斉藤：私はイベント制作会社などを経て入社し、現在はカスタマーエクスペリエンス部で、PRイベントのプロデューサーを担当しています。以前は、PRイベントというとメディア向けのイベントを想起されがちだったのですが、現在はデジタルやソーシャルメディアの普及で、一般の方にも価値ある体験機会を創出するものをPRイベントと捉えています。なぜなら、一般の方々が商品やサービスを体験した先のソーシャルメディアでの拡散が、影響力を持つ時代になったためです。
統合コミュニケーション局 カスタマーエクスペリエンス部 斉藤裕
複数の領域を“越境”してデジタルPRを研究。四つのテーマに分けた理由と現在の取り組み
――デジタルPRで取り組むテーマを、「Social Experience」「Interface Design」「Digital Distribution」「Content Generation」の四つに分けていますが、なぜこの四つにしたのか、理由を教えてください。
新井：メディアの役割を分類する際には「Earned」「Paid」「Owned」「Shared」の四つに分けるのが当社では一般的で、それに合わせて、ソーシャルメディアやPRイベント、メディアプロモート、クリエイティブなど各役割に特化した専門部署が社内に存在しています。しかし、それぞれの役割を組み合わせた統合的なプランニングが求められる機会が年々増えていることを受けて、デジタルPRにおいても、特定の領域だけでなく、その境を越えて“統合的な”デジタルPRとは何かを研究することで新しい知見を社内に蓄積し、クライアントへの提案にも生かせると考えました。そこで設けたテーマが「Social Experience」「Interface Design」「Digital Distribution」「Content Generation」の四つです。各テーマは基本的に複数の領域にまたがることを前提として構成しています。私たちは「越境」を合言葉に、何か一つの専門性を高めるだけでなく、複数の領域を越境しながらデジタルPRを研究することで、社内のデジタル標準装備化を推進するとともに、クライアントにも新たな価値を提供できればと考えています。そして、最終的には統合コミュニケーションとして、全ての領域を統合するのがゴールです。
▼私たちが取り組むテーマ
● Social Experience：ソーシャルメディアをはじめとしたデジタル上の最適な生活者体験を追求する
● Interface Design：生活者視点に立ち、リアルとデジタルの接着点においてより高次元での価値を提供する
● Digital Distribution：変わり続ける情報接触習慣に基づき、デジタルメディアを用いた情報伝達を最適化し続ける
● Content Generation：生活者にとって価値あるコンテンツづくりと、それを適切に発信できる体制をマネジメントする
――各テーマに基づき、現在行っている取り組みを教えてください。
鶴岡：「Social Experience」チームでは、大きく言うとソーシャルメディア上で情報に触れて心が動く瞬間や、それで行動がどう変わるのかを分析しています。例えば、TikTokやYouTube ショートの動画を中心に、冒頭を見たときにどういう気持ちの動き方をすれば、さらに先を見たくなるのか、情報流通につながるかを研究しています。並行して『正式な情報解禁前のティザー発信』の研究もしており、どのタイミングでどう情報を出すと人に興味関心を持ってもらえるのか、いろいろな情報がある中で無視されない情報は何かを分析して体系化することで企画の検討に生かしています。
統合コミュニケーション局 コミュニケーションデザイン部 鶴岡大和
斉藤：「Interface Design」チームでは、デジタルとリアルのシームレスな体験の最適解を分析しています。具体的には、とくにイベントプロモーションにおいてデジタルとリアルがシームレスにつながった好事例を収集して分析。CXレポートと題し、最新潮流を社内外に共有しています。Interface Designはわれわれとしても、これからチャレンジしていかなきゃいけないテーマ。とくに今後は、PR視点で生活者イベントをやるとどうなるかを研究したいと考えており、その結果、来た人の体験価値向上だけでなく、来た人が感じたことをソーシャルで発信してもらい、より多くの人に広がっていくところから逆算したコンテンツ作りを目指します。
深谷：「Digital Distribution」チームでは、デジタルメディアを使ってどのような情報を出したらきちんと届けたい相手に届くのか、届けた後に起こるアクションは何かという、届け方と届けた先の行動を研究しています。現在は、インフルエンサーやソーシャルメディア広告など各種ソリューションを掛け合わせることで話題になった事例をインプットしています。その中でコンテンツと広まりやすい媒体の相性の良さや、コンテンツを公開する順番、最適なコンテンツとの接触の仕方などを明らかにし、アップデートを続けていけたらと考えています。
統合コミュニケーション局 デジタルアクティベーション部 深谷朋宏
山崎：最後に「Content Generation」チームでは、ユーザーにとって価値あるコンテンツは何か、それを届けていくためにソーシャルメディアのアカウントや公式サイトなどのデジタルをどう活用すべきか、どんな体制でやるべきかを研究しています。例えばXでポジティブ、もしくはネガティブに拡散された事例を研究し、なぜ反応が良かったのか、あるいはなぜ悪かったのかを事例を集めて分析しています。ほかにも、ソーシャルアカウントを立ち上げ運用していく際の戦略構築や体制構築を研究したり、コンテンツ制作におけるAIの活用術を研究し、社内外に共有する役割も担っています。
統合コミュニケーション局 デジタルアクティベーション部 山崎珠里
新井：デジタルPRをこの四つのテーマに分けたことで研究のスピードが格段に上がったと感じます。というのも、PRにおけるデジタル活用の幅は広過ぎて、何から手をつけていこうか、限られたリソースの中でどこから優先的にやっていこうかという課題があったのです。しかし、明確にチームを分けたことで新しい領域の開拓が進んできたのは、一つの成果です。今後はそれぞれのチームが出したアウトプットを社内に共有しながら、全社的にデジタルの標準装備化を目指します。それが結果として、特定の領域にとらわれず、本来の課題解決を目的としてクライアントさまと伴走することにもつながると考えています。
前編では、デジタルPRの四つのテーマに関してクロスセッションを行いました。後編では、仕事の原体験となったデジタルの思い出について語ります。
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