各国の政治・経済動向が相互に影響を与えるグローバル社会において、諸外国の政策を早期に把握する必要性が高まっています。こうした背景を受け、当社は米国最大のアジア研究を専門としたシンクタンク「全米アジア研究所」(The National Bureau of Asian Research、以下NBR)と米国の対日経済政策の分析、対応・体制強化に関する協力関係を構築し、『ワシントン政策分析レポート』 を作成しております。
本レポートは、米国のアジア外交専門家と、当社のパブリックアフェアーズ専門家において10月初旬に協議した内容に基づいて作成しております。『米国大統領選挙と今後の経済政策を読む』と題した今回のレポートでは、米国大統領選挙の見通しと日本および日本企業への影響についてまとめています。
■エグゼクティブサマリー
・激戦州において、ハリス候補とトランプ候補の支持率は拮抗しており、どちらが勝利するのか、投票日当日まで予測することは難しい。
・2016年の大統領選挙以来問題となっている外国からの偽情報による選挙介入は今回も活溌に行われている。
・ハリスはソーシャルメディアを上手に活用し、Z世代に寄り添う姿勢を見せて、票の獲得を狙っている。一方で、トランプはテレビやポッドキャストなどで保守の岩盤支持層を固めている上に、最近では物価高に失望している若者層や黒人、ヒスパニックの取り込みにも成功している。
・どちらの政権になっても、自由貿易体制ではなく、関税を使った通商活動が続く。経済安全保障が強化されることから、サプライチェーン組み直しや原産地規則といった規制が強化されると考えられる。
・日本への影響が懸念される台湾有事であるが、来年、米中関係が急速に悪化するとは考えていない。中国は長いスパンで台湾統一を考えている。