各国の政治・経済動向が相互に影響を与えるグローバル社会において、諸外国の政策を早期に把握する必要性が高まっています。こうした背景を受け、当社は米国最大のアジア研究を専門としたシンクタンク「全米アジア研究所」(The National Bureau of Asian Research、以下NBR)と米国の対日経済政策の分析、対応・体制強化に関する協力関係を構築し、『ワシントン政策分析レポート』 を作成しております。
本レポートは、米国のアジア外交専門家と、当社のパブリックアフェアーズ専門家において7月に協議した内容に基づいて作成しております。『米国の東アジア外交~国内の政治環境・貿易・安全保障政策』と題した今回のレポートでは、米国大統領選のキャンペーン動向と争点、今後の外交政策におけるポイントついてまとめています。
■ エグゼクティブサマリー
本レポートは、2024年7月に米国のアジア外交専門家と、電通PRコンサルティングのパブリックアフェアーズ専門家の間で協議された内容に基づくレポートである。日本企業が特に注目すべき点として次の4点が挙げられる。
・ 米国の選挙キャンペーンでは、常に国内問題に焦点が当てられる。景気や雇用、移民、犯罪、中絶などについて有権者は関心を持つことから、今回も外交・安全保障については争点にならない。
・ バイデン政権の外交政策チームは、さまざまな多国間グループにも引き続き重点を置いている。日豪比との協議を経て、米国はインド太平洋における平和と安定、抑止力のための方針「SQUAD」を提唱した。日米豪印の「QUAD」と比較するとより安全保障を重視した枠組みとなっている。
・ バイデン政権では中国との対決姿勢を明確にしているが、ハリスが大統領となった場合もその路線を踏襲する。米国政府のアプローチとしては、①保護主義的なバイアメリカン政策、②サプライチェーンの安全保障、③国内製造業の促進の3点。
・ トランプ政権が誕生した場合に行うべき政策については、保守系シンクタンクであるヘリテージ財団が900ページのレポート「Mandate for Leadership 2025」を発表、第二次トランプ政権の基本政策となるかは未定。