企業広報戦略研究所(所長:三浦健太郎、所在地:東京都港区、電通PR内)は、日本における企業の広報活動の実態や課題を探ることを目的に、本年4月から7月、上場企業3,651社の広報担当責任者を対象に調査を実施し、回答を得た518社のデータを独自の指標である「広報オクトパスモデル」で分析しました。

主な調査結果

1.8つの広報力全てが2016年比で伸長 
 -広報活動を支える力である「広報組織力」「危機管理力」が大きく伸びる
 -課題だった「関係構築力」が改善し、「情報分析力」も大きく伸長

2.より一層ステークホルダーの多様化が進み、広報担当の業務テーマも広がる
 -重要なステークホルダーでは「就活生・学生」が18.4ポイント伸びる
 -広報担当の業務として「経営・事業戦略」「リクルーティング」が伸長

3.依然として『戦略・企画フェーズ』を強化したいと考える企業が多い
 -「広報オクトパスモデル」8つの広報力でみると、最も強化したい広報力は「戦略構築力」
 -「戦略構築力」の中でも「中・長期的広報戦略・広報計画を作成している」を強化したい企業が最も多い

「広報オクトパスモデル」前回調査(2016年)と今回調査(2018年)の比較

●広報活動を支える力である「広報組織力」「危機管理力」が大きく伸長
「広報組織力」が+6.9点、「危機管理力」が+5.0点となっており、広報活動を下支えする、広報活動の土台ともいうべき広報力のスコアの伸長がみられました。
背景には、「社外取締役制度やアドバイザリーボードを設置」「自社の経営リスクを継続的に予測している」など、広報を意識したリスク予測/予防が従来以上に強化されている傾向があると考えられます。

●課題だった「関係構築力」が改善し、「情報分析力」も大きく伸長
前回最も低いスコアだった「関係構築力」が+5.2点と改善しました。また「情報分析力」は前回+2.3点が今回+5.3点とさらに大きく伸長しました。
「トップと従業員が直接会う機会を設けている」「顧客や地域住民と直接(オフライン)的に交流する機会を設けている」など、従業員対応/社内活性化やステークホルダーとの直接交流などの実施率が高まったことが要因のようです。

 

※調査結果概要につきましては、ページ下部からニュースリリースをご覧ください。

 

企業広報力調査とは

企業広報力調査は、当研究所が開発した「広報オクトパスモデル」に基づき、企業の8つの広報力を評価するものです。日本市場で活躍する全業種の企業を対象に定期実施し、各社の現在位置を多角的に分析するとともに、各社が広報活動の水準向上への道筋を見出すことを支援しています。

 

<「広報オクトパスモデル」8つの広報力>

◆情報収集力:  自社や業界・競合に対するメディアの評判や、ステークホルダーの動静などについて収集・把握する能力
◆情報分析力:  収集した情報に基づき、自社の経営課題・広報課題を洞察する力と、それを組織的に共有する能力
◆戦略構築力:  経営課題に対応する広報戦略の構築と、ステークホルダー別の目標管理、見直しを組織的に実行する能力
◆情報創造力:  ステークホルダーの認知・理解・共感を得るために、メディア特性に合わせたメッセージやビジュアルなどを開発する能力
◆情報発信力:  マスメディアや自社メディア、ソーシャルメディアなどさまざまな情報発信手法を複合的にタイムリーに駆使する能力
◆関係構築力:  重要なステークホルダーと、相互の理解・信頼関係を恒常的に高めるための活動と、実行する組織能力
◆危機管理力:  自社を取り巻くリスクの予測・予防や緊急事態に対応するスキルを維持・向上する組織能力
◆広報組織力:    経営活動と広報活動を一体的に行うための意思決定の仕組み、体制、システム整備などの水準

 

今回調査対象とした上場企業には、パブリックカンパニーとして経営の透明性が求められます。
的確な情報開示や説明責任、さらには、社会との対話といった企業広報の充実こそが、ブランドや企業レピュテーション、株価など、企業価値に好影響を与えると考えられます。
企業広報戦略研究所では、今回の調査などを通じて得た知見をもとに、学識者や団体・企業に情報提供を行い、日本市場で活躍する企業の価値向上を支援していく予定です。

 

「広報オクトパスモデル」算出方法について

本調査は、広報活動に関する設問(80項目)を8つの広報力に分類し、各広報力を構成する10項目の基礎点を各6.4点、当研究所の専門家パネル(研究者、メディア、広報実務家12人)の各メンバーが、戦略的重要性が特に高いと評価した3項目に1.0点/票を付与(1.0点×12人×3票=+36点)し、基礎点6.4点×10項目+付与点36点の総計100点で各広報力を算出しました。

 


■調査概要

調査期間:  2018年4月30日~7月13日
調査対象:  『会社四季報 2018年』掲載時点の東証一部・二部、東証マザーズ、ジャスダック、札証、
       名証、福証に株式上場している企業(3,651社) cf.前回2016年調査:3,664社
有効回答サンプル数:518社(回収率14.2%)
          cf.前回2016年調査:533社(回収率14.5%)https://www.dentsuprc.co.jp/releasestopics/news_releases/20160525-2.html
調査方法:  郵送・訪問留置調査
調査主体:  企業広報戦略研究所(株式会社電通パブリック リレーションズ内)

※調査項目は、前回調査から一部変更しております。

<お願い>
本調査内容を転載・引用する場合、転載者・引用者の責任で行うとともに、弊社の調査結果である旨を明示してください。


■企業広報戦略研究所について

企業広報戦略研究所(Corporate communication Strategic studies Institute:略称C.S.I.)とは、企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制などについて調査・分析・研究を行う電通パブリックリレーションズ内の研究組織です。
(2013年12月設立。所長:三浦健太郎) https://www.dentsuprc.co.jp/csi/

 

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【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社 電通パブリックリレーションズ 経営推進局 荒川・野城
〒105-7135 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 35階
Tel:03-6263-9000 Fax:03-6263-9001 E-mail: info@dentsu-pr.co.jp
https://www.dentsuprc.co.jp/