企業広報戦略研究所(所長:三浦健太郎、所在地:東京都中央区、電通PR内)は、生活者が企業のどのような活動(ファクト)に魅力を感じ、その魅力がどのように伝わっているのかを解析することを目的に、本年3月、全国1万人を対象とした『第1回企業魅力度調査』を実施しました。第一回魅力度調査リリース20160609【たぶん最終】

 

スマートフォンやソーシャルメディアが広く普及したことにより、生活者や個人投資家などは、企業のさまざまな活動、経営者・従業員の言動などを写真・動画・短文で切り取り、評価し、SNSなどでシェアする時代となりました。こうしたステークホルダーの評価行動は、企業ブランドに多大な影響を与える情報環境時代になってきていると考えられます。

『企業魅力度調査』では、そのようなステークホルダーが、どのような企業行動(ファクト)に魅かれるのかを、「人的魅力」「会社的魅力」「商品的魅力」の3要素からなる企業広報戦略研究所独自の分析軸「企業魅力度モデル(Attractiveness Marketing Model) 」に基づき調査しました。

対象企業は10業種、計150社とし、業種別ランキングや業種別に異なる魅力度のバランス、さらにはそれぞれの魅力の情報経路などを明らかにしました。

1.企業の魅力1位は「ビジョンを掲げ、業界を牽引」

「企業魅力度調査」では、企業の魅力を構成する3要素(「人的魅力」「会社的魅力」「商品的魅力」)ごとに重視すべき12項目(計36項目)を定め、調査を行いました(詳細後述)。

その結果、「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」という「人的魅力」が50.5%で1位でした。同じく「人的魅力」でTOP5に入ったのは「信頼できるリーダー・経営者がいる」(40.8%)、「チャレンジスピリットにあふれたリーダー・経営者がいる」(39.2%)でした。「人的魅力」、とりわけ挑戦を続け、あるべき将来像を提言しているソートリーダーの存在が、企業の魅力に大きく影響することが見て取れます。

 

図1

 

とくに、M1層(20~34歳の男性)に焦点を当てて見てみると、その傾向はより色濃く表れます。

「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」(55.2%)、「信頼できるリーダー・経営者がいる」(48.7%)の2つの「人的魅力」が上位2項目となりました。それ以降も、「会社的魅力」である「安定的な収益基盤がある」(45.7%)を挟んで、「チャレンジスピリットにあふれたリーダー・経営者がいる」(44.6%)、「イノベーションにこだわる経営をしている」(39.7%)と「人的魅力」が4位と5位となり、TOP5中4項目を「人的魅力」が占め、「商品的魅力」は圏外という結果になりました。M1層にとっては商品や会社の魅力より、そこに働く「人」が企業の魅力を大きく左右すると考えられます。

 

図2

 

2.嫌いな企業の理由は、社員や店員との“不誠実なリアル体験”

一方、嫌いな企業名とその理由を自由に回答いただいたものをテキストマイニング(※)で集計したところ、最も多く挙げられた単語は「ブラック」、「対応」、「社員」などでした。報道による企業のイメージの固定化や、生活者と直接接点を持つアルバイト・従業員の対応が写真や動画にとられ、SNSに投稿・拡散していく情報環境が要因として考えられます。

(※)文書を単語に分解し、出現頻度や関係性を分析すること

<嫌いな企業の理由として挙げられた回答(例)>
・信頼感がない。不誠実な感じ。時代とずれている感じ。社員さん店員さんがちょっと…(流通)
・訪ねてきた社員に暴言を吐かれたから(エネルギー)
・販売店に軽自動車を見に行った時の対応の悪さ、売る気の無さ、知識の無さを感じた。二度と買う候補にはしません(自動車)
・近所で新築していた際、近隣住民への配慮や連絡がなってなかったので悪印象を持つようになった(住宅)
・対応が雑。時々、家の玄関を蹴っている音がする。荷物がたばこ臭い(運輸)

3.業種別では、「電気機器」が1位。2位は「自動車」。 10業種中最下位は「エネルギー」という結果に

業種別で、一般生活者1万人が“魅力を感じる”とした項目の合計数を積算すると、「電気機器」が32,760項目で2位以下を大きく引き離し、トップでした。「電気機器」の3つの魅力を比較すると、「商品的魅力」が42.1%と最も多い割合となりました。比較的耐久年数が長く、価格帯も高価な電気機器は「商品・サービス」としての魅力が、企業の魅力に大きく影響していることが分かります。

一方で、10業種中最下位は15,183項目の「エネルギー」でした。電力・ガス自由化などで競争が激しくなっている業界ですが、生活者は「商品的魅力」に大きな差を感じず、提供する企業に対する信頼・信用などの「人的魅力」(41.6%)が重要視されていることがうかがえます。

図3

 

業種別の企業魅力度構成比率

1位 電気機器(n=1,000)

1位

調査票 表記名称(五十音順)

IBM、アップル、LGエレクトロニクス、キヤノン、サムスン電子、シャープ、ソニー、ダイキン工業、東芝、日本電気(NEC)、パナソニック、日立製作所、富士通、三菱電機、レノボ

 

 

 

 

 

 

注釈

2位 自動車(n=1,000)

2位

調査票 表記名称(五十音順)

いすゞ自動車、スズキ、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、BMW、日野自動車、フォルクスワーゲン、富士重工業(SUBARU)、ホンダ、マツダ、三菱自動車、メルセデス・ベンツ、ヤマハ発動機、ルノー

 

 

 

 

 



企業間比較(例)

外国車メーカー2社を比較しました。
ポイント差の大きかった5項目のうち、「良い企業理念・ビジョンにもとづいた経営をしている」をはじめとした、長期的な視点に関する項目に差が見られる傾向があることが分かります。

 

3位 医薬品・生活用品(n=1,000)

3位

調査票 表記名称(五十音順)

旭化成、アステラス製薬、エーザイ、大塚製薬、花王、グラクソ・スミスクライン、資生堂、第一三共、大正製薬、武田薬品工業、P&G、ファイザー、富士フイルム、ライオン、ロレアル

4位不動産・建設(n=1,000)

4位調査票 表記名称(五十音順)

飯田グループ、大林組、鹿島、清水建設、住友不動産、住友林業、積水ハウス、大成建設、大和ハウス工業、竹中工務店、東急不動産、野村不動産、三井不動産、三菱地所、森ビル

5位 情報・通信(n=1,000)

5位調査票 表記名称(五十音順)

ITホールディングス、NTT、NTTドコモ、カカクコム、Google、KDDI(au)、ソフトバンク・グループ、DeNA、日本オラクル、日本ユニシス、Facebook、マイクロソフト、mixi、Yahoo!、LINE

6位 食品(n=1,000)

6位

調査票 表記名称(五十音順)

味の素、アサヒグループ、江崎グリコ、キリン、キユーピー、コカ・コーラ、サントリー、日清食品、日本ハム、ネスレ、明治、森永製菓、森永乳業、雪印メグミルク、ロッテ

7位 サービス・その他(n=1,000)

7位

調査票 表記名称(五十音順)

アスクル、アマゾン、エイチ・アイ・エス、エイベックス・グループ、オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)、KADOKAWA・DWANGO、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA)、JTB、セコム、ダスキン、日本郵政、任天堂、ベネッセ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、リクルート

8位 金融(n=1,000)

8位

調査票 表記名称 (五十音順)

MS&ADインシュアランスグループHD(三井住友海上、あいおいニッセイ同和)、オリックス、かんぽ生命、ソニーフィナンシャルホールディングス(ソニー生命)、損保ジャパン日本興亜ホールディングス、第一生命保険、T&Dホールディングス(太陽生命保険、大同生命保険)、東京海上ホールディングス(東京海上日動火災)、日本生命保険、野村ホールディングス(野村証券)、みずほフィナンシャルグループ(みずほ銀行)、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友銀行)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(三菱東京UFJ銀行)、ゆうちょ銀行、りそなホールディングス(りそな銀行)

9位 鉄道・航空・運輸(n=1,000)

9位調査票 表記名称(五十音順)

近畿日本鉄道(近鉄)、全日本空輸(ANA)、デルタ航空、東海旅客鉄道(JR東海)、東京急行電鉄、名古屋鉄道、西日本鉄道(西鉄)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、日本航空(JAL)、日本通運、日本郵便、阪急阪神、東日本旅客鉄道(JR東日本)、
ヤマトホールディングス(ヤマト運輸)、ユナイテッド・コンチネンタル

10位 エネルギー(n=1,000)

10位

調査票 表記名称(五十音順)

出光興産、岩谷産業、SBパワー、エネット、F-Power、大阪ガス、関西電力、JX、西部ガス、中部電力、東急パワーサプライ、東京ガス、東京電力、東邦ガス、東北電力

 

 

 

 

 

 


※個別企業の結果は、一般には公開しておりません。
※調査対象企業の法人名は省略しています。
※一部の調査対象企業名は簡略化しています。

4. 魅力を感じる情報の伝わり方は、「番組や記事」などの報道が1位。 「メディア」(54%)と「リアル」(46%)が拮抗

Q 企業の魅力は、どのようなところで見聞きしたか?(MA)

企業の魅力を最も感じた項目を見聞きしたのは、「番組や記事」が41.6%で最も高くなりました。依然として報道機関やメディアという第三者を経由した情報の影響力が大きいということが分かります。メディア関連項目では、「企業が直接発信する情報」が次に多く、27.6%が選択しました。

もう一つの特徴として見られたのが、生活者が企業の魅力を感じる際のファクトの伝達経路として、「メディア」を介すものと(54.4%)、「リアル」な体験を介すもの(45.6%)がバランス良く表れたという事実です。どちらかだけを意識した企業活動では不十分であり、さまざまな方向から企業の魅力を伝えていく必要性が見て取れます。図5

Q 具体的には、どのようなメディアから?(MA)

メディア関連項目を詳しく見ると、「テレビ番組」を通じて魅力を見聞きする人が46.5%でした。さらに、「企業のウェブサイト」を情報源として回答した人が22.2%と、メディア種別では3位となり、昨今注目を集めるオウンド・メディアの存在感が一般生活者の中で増していると考えられます。

図6jpg

 

n=6,436(メディアを通じて企業の魅力を感じた人)

 

5.企業ブランドに影響を与える「魅力」を比較・分析するフレームを開発

<企業魅力度モデル(Attractiveness Marketing Model)>とは

モデル開発・調査の背景

これまで、企業の活動は、主に宣伝広告活動や、報道を通じてステークホルダーに伝達されてきました。しかしスマートフォンやSNSなどの普及に伴い情報環境が大きく変化し、一般生活者からの情報発信による影響力が強まっています。従来の宣伝・広報活動に加え、営業活動・商品開発姿勢・CSR活動・トップや店員の言動など、あらゆる企業活動が写真・動画・短文に切り取られSNSで発信・拡散されることで、企業ブランドに与える影響が強まってきていると考えています。

こうした新しいビジネス環境において、企業のどのような活動・事実(ファクト)に、生活者や投資家が“魅力”を感じるのかを検証するため、企業広報戦略研究所が新たに開発したモデルが、企業魅力度モデル(Attractiveness Marketing Model)です。

企業の“魅力”とは、商品・サービスの独創性やソリューション力などの「商品的魅力」に加え、成長戦略やリスク&ガバナンス対応などから構成される「会社的魅力」、さらにその企業のリーダーや職人などの従業員が感じさせる「人的魅力」という3魅力の複合体と考え、各魅力ごとに、6領域・12項目を設定しています。

 

魅力3要素定義と、構成する6領域

調査概要

調査対象:  全国の20~69歳の男女それぞれ各業種ごとに1,000人ずつ 計10,000人

調査方法:  インターネット

調査期間:  2016年3月24日~3月29日

設問内容:

  • 魅力を感じる業種
  • 魅力を感じる企業
  • 魅力を感じるきっかけ
  • 魅力を感じた要素
  • 魅力を感じた要素の情報経路

調査主体:  企業広報戦略研究所(株式会社電通PRコンサルティング内)


<お願い>本調査内容を転載・引用する場合、転載者・引用者の責任で行うとともに、当研究所の調査結果である旨を明示してください。

企業広報戦略研究所について

企業広報戦略研究所(Corporate communication Strategic studies Institute : 略称C.S.I.)とは、企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制等について調査・分析・研究を行う電通PRコンサルティング内の研究組織です。

(2013年12月設立。所長:三浦健太郎) https://www.dentsuprc.co.jp/csi/

株式会社 電通PRコンサルティングについて

電通PRは、1961年の創立以来、クライアントとステークホルダーの良好な関係を生み出す戦略パートナーとして、国内外の企業・政府・団体のコミュニケーションをサポートしてきました。ソーシャルメディア、デジタル・マーケティングなどで高い専門性を備えたコンサルタントを含む、総勢243名の社員が、マーケティング・コミュニケーションおよびコーポレート・コミュニケーションの領域で、戦略提案から専門的なソリューションまで、フルラインでご提供いたします。

詳細は当社のウェブサイトをご覧ください。

電通PRウェブサイト https://www.dentsuprc.co.jp/

電通PRデジタルマイクロサイト http://dentsuprdigital.com/

【本件に関するお問い合わせ先】

株式会社 電通PRコンサルティング 人事総務部

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