企業広報戦略研究所(所長:三浦健太郎、所在地:東京都港区、株式会社電通PRコンサルティング内)は、生活者が企業のどのような活動や事実(ファクト)に魅力を感じ、その魅力がどのように伝わっているのかを解析することを目的に、本年6月末から全国1万人を対象とした『第4回魅力度ブランディング調査』を実施しました。

「魅力度ブランディングモデル」とは、コーポレートブランドを構成する魅力を「人的魅力」、「財務的魅力」、「商品的魅力」に分類し、それぞれで重視すべき6領域12項目(計36項目)を定め、企業の“魅力”を分析しています。企業広報戦略研究所では2016年から毎年調査を行っており、今年は第4回となります。

今回の調査では、昨年と同様20業界200社を対象とし、調査項目も近年の企業のブランディング活動の実態を踏まえて更新しています。本リリースでは、調査結果のうち、魅力項目ランキング、魅力度の業界別ランキング、魅力を感じた情報源などについて分析しています。

<結果概要ポイント>

企業広報戦略研究所(所長:三浦健太郎、所在地:東京都港区、株式会社電通PRコンサルティング内)は、生活者が企業のどのような活動(ファクト)に魅力を感じ、その魅力がどのように伝わっているのかを解析することを目的に、本年6月、全国1万人を対象とした『第3回魅力度ブランディング調査』を実施しました。

「魅力度ブランディングモデル」とは、コーポレートブランドを構成する魅力を「人的魅力」、「財務的魅力」、「商品的魅力」に分類し、それぞれで重視すべき6領域12項目(計36項目)を定め、企業の“魅力”を分析しています。企業広報戦略研究所では2016年から毎年、調査を行っており今回は第3回となります。

今回は、過去の調査結果との比較分析を踏まえ、調査範囲を10業種・150社から20業種200社に拡大し、調査項目も近年の企業のブランディング活動の実態を踏まえて更新しています。

本リリースでは、調査結果のうち、魅力項目ランキング、魅力度の業界別ランキング、ESGの認知などについて分析しています。

第4回 魅力度ブランディング調査結果

1.企業に魅力を感じる要素第1位は4年連続で「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」

生活者1万人が企業に対して感じた魅力要素のランキングでは、本調査開始以来、4年連続で「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」(47.2%)が第1位となりました(表1参照)。昨年と同様、トップ5のうちの4項目で「人的魅力」がランクインしており、生活者は引き続き企業の魅力として評価していることが分かります。

1位から3位は昨年と同様の結果になった一方で、4位「熱心なファンが多い商品・サービスを提供している」(37.0%)が昨年8位から順位を上げてランクインしました。また、5位「イノベーションにこだわる経営をしている」(36.4%)も6位から一つ順位を上げて新たにランクインしています。

総魅力量を3つの魅力6つの領域別で見ると、全体的に魅力量が減っていることが分かりました。魅力量の減少が大きかったのは、人的魅力「誠実さ・信頼」(4.9pt減)、商品的魅力「コストパフォーマンス」(4.5pt減)「独創性・革新性」(4.3pt減)、財務的魅力「安定性・収益性」(4.1pt減)で、それぞれ4pt以上の減少となりました。これは、2018年下半期から2019年上半期にかけて、企業の不祥事や問題が多発し、報道されたことも原因になっていると考えられます。

2.生活者が企業に今後期待する魅力と、現在感じている魅力で最もギャップが大きいのは、「商品・サービスを安価に提供している」

生活者が企業に今後期待する魅力を調査し、現在感じている魅力との差分をみたところ、最も差分が大きく出た要素は商品的魅力の「商品・サービスを安価に提供している」となりました。2019年10月に消費増税が見えていたことも影響していると考えられます。なるべくリーズナブルに買い物をしたいという生活者の意識、またそれを企業に期待している様子がうかがえます。

また、2位「社員がやりがいを持って活き活きと仕事をしている」、3位「こだわりをもった社員が品質向上にチャレンジしている」と、人的魅力の中でも「社員」に関わる要素が続いており、どちらも社員の働く姿勢に対する魅力アップが期待されていることが分かります。近年、働き方改革が注目されていることから、企業には社員が向上心をもって活躍できる職場を提供することが期待されています。

以下、4位「将来に向けて、優れた研究開発をおこなっている」、5位「環境にやさしい経営をしている」は、財務的魅力の要素です。今年はSDGs経営元年ともいわれていますが、生活者からも企業に対して、持続可能な将来に向けての研究や、環境にやさしい経営が期待されていることが分かります。

以上のように、今後期待する魅力と現在感じている魅力でギャップが大きい項目は、消費増税、働き方改革、SDGsなど、社会動向に関連したテーマであることが分かりました。生活者が関心のあるテーマを読み解き、企業として対応していくことが、期待に応えることにつながると考えられます。

3.魅力的な業界ランキングは、1位「飲料」、2位「海外自動車・自動車関連部品」、3位「繊維・化学・日用品」

生活者が企業に対して魅力を感じるとした項目の合計ポイント数を業界別でみると、「飲料業界」が1位(17,037ポイント)となりました。次いで、「海外自動車・自動車関連部品業界」(16,090ポイント)、「繊維・化学・日用品業界」(15,271ポイント)でした。昨年の結果と比較すると、1位と2位が入れ替わり、今年3位の「繊維・化学・日用品業界」は昨年6位から3つ順位を上げています〈図1参照〉。

1位の「飲料業界」は、昨年から財務的魅力と商品的魅力のポイントを増やし(226ポイント増/196ポイント増)、昨年の2位から順位を上げました。特に「商品的魅力」(6,276ポイント、36.8%)の割合が高く、中でも「品質に信頼がおける商品・サービスを提供している」項目がトップとなっています。

今回の調査で大きく順位を上げたのが4位の「電機業界」です。昨年から人的魅力の魅力量を254ポイント増やし、9位から5つ順位を上げました。ポイントの高かった項目を見ると、人的魅力では「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」や「まじめで、信頼できる社員がいる」など、リーダーシップや誠実さに関する項目が高い傾向がありました。

その一方で大きく順位を下げたのが「国産自動車・二輪車業界」(3,729ポイント減で5位→11位)や、「流通・小売り業界」(3,228ポイント減で10位→14位)でした。

4.魅力を感じた情報源1位は「商品・サービスを直接体験して」(47.9%)約2人に1人が商品やサービスを直接体験して魅力を感じている結果に

「企業の魅力をどのようなところで見聞きしたか」を聞いたところ、1位は「商品・サービスを直接体験して」(47.9%)で、約2人に1人は直接的な体験が企業の魅力を知る情報源であると回答しています。次いで、「テレビ番組」(19.6%)、「社員・店員などを通して」(17.4%)でした〈図2参照〉。

1位と3位にリアル系の項目があることから、社員や店員は自らが会社の顔となり、その魅力を伝える影響力を持っていることが分かります。リアル系の情報源は全体で見ても上位5項目のうち3つを占めており、実体験の重要性が分かる結果となりました。

また、メディア系の項目を見ると、上位2項目をテレビ番組とテレビCMが占めており、テレビには一定の影響力があることがうかがえます。「情報洪水社会」といわれる現代で、テレビは魅力的な企業の情報をビジュアルでインパクトを持って伝えやすいため、生活者の記憶に残りやすいメディアだと考えられます。

情報源の上位4位は性年代別の違いがあまり見られませんでしたが、一部違いが見られたものについて解説します。

まず、情報源5位「身近な人との会話」は、〈20代女性〉(19.3%)が最も多い結果になりました。全体的に女性の方が高く、人と直接会話をする中で、企業の魅力を知る機会が多いことがうかがえます(図3‐1)。

情報源7位「ウェブ上でのニュース」では、男性の方が高く、特に〈20代男性〉(18.2%)が最も高くなっており、最も低い〈50代女性〉(7.4%)と2倍以上の差があることが分かります(図3‐2)。

また、情報源9位「新聞記事」でも、全体的に男性の方がポイントが高い傾向があります。特に〈60代男性〉で20.3%と最も高くなりました。一方、〈20代女性〉〈30代女性〉では、それぞれ(3.0%)、(3.9%)と低い結果となりました。これは新聞を読む習慣・頻度が影響していることも考えられます(図3‐3)。

以上で取り上げた情報源において最も高い数値に注目してみると、それぞれ「身近な人との会話」(20代女性)(19.3%)、「ウェブ上でのニュース」(20代男性)(18.2%)、「新聞記事」(60代男性)(20.3%)となります。情報源全体の数値【図2】と比較すると、2位の「テレビ番組」(19.6%)にほぼ匹敵、もしくは超えており、性年代によって効果をもつ情報源に特徴があることが分かります。

ターゲットに合わせて企業の魅力を創り、磨き、そして適切なメディアで発信することで、「魅力的な企業」として認識される可能性が高まると考えられます。

5.企業の魅力認知後、何らかのアクションを起こす生活者は7割以上

最も魅力を感じる企業に対して、魅力を感じた結果どのような行動をしたかを聞いたところ、71.9%の人が何かしらの行動をした、という結果となりました。

魅力を感じた結果とった行動として、最も多かったのは「商品やサービスを購入または利用した」(29.6%)でした。次いで「企業や商品・サービスのウェブサイトを閲覧した」(27.8%)となり、いずれも3割近くの人が魅力を感じたことをきっかけに、実際に商品やサービスを購入したり、購入まではいかずともウェブサイトの閲覧をしたりしたことが分かります。また、3番目に多かったのが、「家族や友人に話をした」(17.9%)でした。つまり2割近くの人が、魅力を感じた結果それを他者に伝えるという行動をとっています。

生活者に企業の魅力を感じてもらえれば、生活者は何かしらの行動をとる可能性があることが分かりました。企業の魅力をファクトに基づいて伝える企業広報への取り組みがますます重要になってくると考えられます。

調査概要

調査対象:全国の20~69歳の男女 計10,000人

調査方法:インターネット調査

期間:2019年6月26日~2019年7月2日

調査対象企業:20業界200社(業界ごとに500人ずつで調査)

設問内容:魅力を感じる業界、魅力を感じる企業、魅力を感じた要素など

(※魅力を感じた要素の詳細は、C.S.I.ウェブサイトをご覧ください)

<お願い>

本調査内容を転載・引用する場合、転載者・引用者の責任で行うとともに、当研究所の調査結果である旨を明示してください。

 

企業広報戦略研究所とは (Corporate communication Strategic studies Institute : 略称C.S.I.)

企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制などについて調査・分析・研究を行う、(株)電通PRコンサルティング内の研究組織です。2013年12月設立。所長:三浦健太郎。

企業広報戦略研究所サイト https://www.dentsuprc.co.jp/csi/