NHKに「難問解決!ご近所の底力」という番組がありました。(2003年~2010年放送)
町の住民の悩みや課題を、地域住民の力で解決していく視聴者参加型の番組です。
 ごみ問題や防犯、カラス撃退や鳥のフン害対策など、さまざまな悩み事が番組に寄せられます。番組では、同様の悩みを抱えた他の町が地域や住民の力で解決した事例を紹介し、その成功事例を解決した町の住民がプレゼンテーションします。一つの悩みに対して三つほどの解決事例が示されて、最終的にはいずれかの解決策を採用するといった番組です。実は私もこの番組に出演したことがあります。その時の難問は「町の渋滞」の解決策でした。住宅街から最寄りの駅までの主要道路が、特に朝夕の時間帯に混雑し、地域の住民が通院や買い物などに大きな支障を来している、といったものでした。
 私が住む東京都武蔵野市には、全国の自治体が注目しているコミュニティバス“ムーバス”があります。今では多くの地域で採用されていますが、それの先駆けとして武蔵野の街を走っていました。コミュニティバスの大きな特徴は、そのサイズです。大型バスとは違いマイクロバス程度のミニバスが、大型バスではとても走ることのできない住宅街の狭い道を走る循環型スタイルです。住宅街を走るわけですから、行政の主体的な協力が無ければ実現できませんが、当時の市長をはじめ、市の担当者が積極的に動いたのも、悩みを抱えた地域住民の訴えがあったからです。この時の番組では別の二つの解決策が示されましたが、結果、私のプレゼンしたコミュニティバスが採用され、早速悩みを寄せてきた町の住民と自治体が共同で推進することになり、今もそのバスは当時悩んでいた町の渋滞解決に一役買っているわけです。

 さて、私は現在の家に60年近く住んでいます。母親にしてみれば70年ぐらいでしょうか。典型的な住宅街で、今でも資源ごみの回収などで、町ぐるみの活動を推進しています。たまたま、我が家の工事に伴い、荷物を搬出し一時的に外部倉庫に預けなければならず、毎週末に梱包(こんぽう)した荷物を軒先に置いていました。すると、その事情を知ったご近所の皆様が、こぞってその荷物を預かってくれると、おっしゃったのです。向こう三軒両隣とはよく言いますが、まさにその方々に、搬出した荷物を預かっていただけることになったのです。これには家族も驚きを隠せず、まさにご近所の底力を目の当たりにしたのでした。
「情けは人のためならず」皆様方の施しに感謝するとともに、我が家も近所に困ったことがあれば、迷うことなく手を差し伸べようと心に誓ったのでした。