作曲家でピアニストの村井秀清さんのテーマ曲にのって、世界のさまざまな街角をカメラの一人称目線で映像を紹介するNHK「世界ふれあい街歩き」は、私が好きな番組の一つです。

 特にこのご時世、海外旅行などとてもかなわぬ折、同番組で自分が旅をしている気分を楽しんでいます。番組側もコロナ禍の影響で、現在の世界の街角を取材するのは難しい中、昨秋幾つかの新作はありましたが、その他は再放送を織り交ぜて放送しています。

 ジョージアの首都トビリシの放送回では、日本人も驚く“おもてなし”の心を発見することになりました。かつて、グルジアと呼ばれていた同国は、ソビエト連邦の構成国の一つで、1991年に独立。2005年にはウクライナと共に民主的選択共同体を発足しました。

 15年4月以降は、国家名称をジョージアとあらためて今に至っています。

 ジョージアの名は、ラグビーでも聞くことが増えました。ソ連から独立後にIRB(現ワールドラグビー)に加盟し、03年のW杯に初出場後、強化を続けています。日本で開催された19年大会では、プールDで1勝3敗の4位でした。ぶどう色のジャージの大男たちがピッチで激しいプレーをする姿が記憶にある方も多いでしょう。

 番組はトビリシの旧市街を通り、住宅街まで足を延ばします。じゅうたん屋さんの女性は、店を案内した後、古い中庭でジョージアの歴史を紹介し、小さなアクセサリー店の店主は、取材スタッフにワインを振る舞ってくれます。家の前で談笑する地元の古くからの友人たちの集まりでは、通りがかりの番組カメラマンにこれもまたワインで乾杯を促します。本当に優しく、おもてなしを楽しんでいる人たちばかりです。ジョージアには「客人は神様の使い」ということわざがあり、国民の中に浸透しています。客人とみれば、通りがかりの見知らぬ人にもワインを振る舞い、聞いてもいないことまで優しく解説してくれ、そして日本からの客人と知れば、東日本大震災について優しい言葉を掛けてくれる。ジョージアはまさに“おもてなしの心の国”なのです。日本の往年の大歌手に「お客様は神様です」と言った方がいましたが、なんとなく日本人のおもてなしの心と共通点を感じた次第です。

 冒頭ご紹介した、村井秀清さんが5月に予定していた「世界ふれあい街歩きコンサート」がコロナ禍の影響で延期になっていましたが、延期の日程が10月に決まったと伺いました。

 秋には、なんとか村井さんのすてきなピアノが聴けることを楽しみにしています。