5月23日のラグビー・トップリーグ決勝・日本選手権決勝はパナソニック、サントリー両チームのレベルの高い戦いぶりに、日本のラグビーファンは大いに盛り上がったことでしょう。

 トップリーグ最終シーズンの決勝にふさわしい試合でした。パナソニック ワイルドナイツおめでとう。

 決勝戦からさかのぼること10日の朝、私のラグビーの師が天に召されました。90歳の大往生とご家族からお伺いしました。あらためてご冥福をお祈りします。

 初めて恩師とお会いしたのは40年以上前のことになります。当時、師は今の私よりもずっと若い40代の時でした。それは厳しい、怖い監督でした。全ての基本はそこで教えていただきました。北海道のご出身で、大学時代はその激しいプレーから“戦艦大和”という異名で幾度となく新聞をにぎわせ、日本代表にも選ばれました。

 「FWは背番号を見せない」は、モール・ラックにいち早く到達し献身的にブレークダウンに参加し、自分の背番号を見せている暇がないプレーが大事という口癖。現代ラグビーでもブレークダウン時の2人目3人目のフォローの速さは最も大事で、トップリーグ決勝でも多くのFWが献身的にモール・ラックに参加していました。背番号を見せずに。

 「飛び込めないウイングはいらない」もよく聞く言葉でした。現役引退の試合となった決勝戦での福岡堅樹選手の最後のトライは、まさにわが恩師の言葉を象徴するライン際で飛び込む素晴らしいトライでした。

 そして、教え子の全てが耳にしている言葉は「間に合ってないねー」という言葉です。

 物理的なことではなく、全てのスキルや考え方が一定のレベルに達していないことを指す言葉で、数え切れないほど大声で怒鳴られてきました。「間に合っている」と言われることの無いままに。

 師と出会って25年後、同じチームで息子も指導を受けることになりました。

 親子2代で厳しい指導を経験し、同じグラウンドで楕円(だえん)球を追い続けたのも監督が結び付けた縁であり、絆であると信じています。残念ながら孫までの3代が指導を受けることがかないませんでした。間に合ってなくてすみません。

 ゆっくりとお休みください。