ある日の昼下がり、見知らぬ番号からスマートフォンに電話がかかってきました。いつもは不明な相手先からの着信には出ないようにしているのですが、丁度あるところからの連絡を待っていたので、つい出てしまいました。
 英語による会話が始まりました。正確に言えば、のっけから理解が追い付かなかったので、会話は成立しなかったのですが……。
 そこで、「もう少しゆっくり話してもらえますか?」とお願いすると、「OK」と言いつつ話すペースは全く変わりません。特に強いアクセントや訛りがあるわけではないのですが、どうにも捉えにくい喋りです。しかも、どうやら母国語でもなさそうです。スッキリと滑らかな英語なのですが、サラサラっと流れていって何も手元に残らない。そんな不思議な感覚です。そうこうする内に段々耳が慣れてきたので、徐々に内容が分かってきました。でも、全体の2~3割ぐらいです。
 ともあれ、要するにこういうことです。「(名前は伏せますが)とあるコミュニケーション産業のグローバルネットワークが日本におけるマネージング・ディレクターを探している。クライアントは、〇〇とか△▽とか■◇とか……(中略)ところで、君は今の仕事に満足しているかい?」
 「は?」(心の声)
 いきなりの振りで、おたおたしてしまいましたが、どうやら世に言うヘッドハンティングみたいです。冒頭からの英語によるコミュニケーション能力の貧しさから、結論は既に出ているようなものですが(笑)、丁重にお断りいたしました。
 すると、「じゃあ、君の知っている人で他に候補になりそうな人材はいないかい?」とのこと。「切り替え早いなあ」(再び心の声)と思いつつ、ちょっと考えるふりをした後、「うーん、すぐには思い付かないですね」「あ、そう。じゃあ、また連絡するかもしれないので。その時はよろしく」ということで終了しました。
 何だかどこにも行き着かない話で、半ばキツネにつままれたような状態ですが、教訓としては一つ。使わない筋肉は知らず知らずのうちに落ちていってしまうということ。英語コミュニケーション筋もしかり。

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