「Jリーグジャッジリプレイ」が面白い。DAZNやJリーグオフィシャルサイトで視聴可能なコンテンツですが、直近の試合の難しい、もしくは微妙な判定を、実際の映像を交えて議論するものです。出演者は、Jリーグ副理事長の原博実さんを座長的な位置付けに、プレイヤーや審判員のゲストも招きつつ、という編成です。

 それで、何が面白いか。簡潔にまとめると、「ダメなものはダメ」とハッキリと発言をされるところです。要するに、忖度(そんたく)無し。試合の最中はこういう判定だったけれども、改めて映像を検証してみるとこれは間違いだね、ということもあり。

 実はこれは、一昔前だとなかなか無かったことです。サッカーの世界では、フィールド上の審判の判定はほぼ絶対で、選手がいろいろ文句を言っても無駄。試合後に見返して、これはどうかなぁ、ということがあったにしても、事後的に何かをするとか、今後どう対処するかとか、割とうやむやにされてきたのが事実です(もちろん、よっぽどひどい判定レベルの審判には、まれに処分が下ることはあったにせよ)。

 このような変化の大きな背景として、テクノロジーの進化があると思います。VARに代表される映像技術のおかげで、個々のプレイは詳細に検証することが可能になり、それまで曖昧な際(きわ)で得をしていた者たちは、もはやその恩恵を手放さざるを得なくなってしまったということです。選手の側も審判の側も。

 思うに、ここにも仕事のデジタル化があります。人間の反応や判断能力に頼っていた局面が、デジタル技術によって高精度化していく。緩やかな幅を認めるよりも、微細な差も詰めていく。いろんな仕事の場で既に起きていることです。

 それがサッカーにとって良いことなのかどうか。結論としては、良いことだと思います。なぜなら、それぞれの仕事のレベルがいや応もなく上がっていくからです。選手たちは厳しい制約の中でより高度なプレイを目指すようになり、審判の側もテクノロジーに頼らずに自身の判定能力を上げる努力に向かうはずだからです。

 そんな中、これまで以上に重要になってくるのは、当事者間でのコミュニケーションではないでしょうか。先日も、サンフレッチェ広島の選手たちと西村雄一主審との間で起きたやり取りが話題になっていました。一昔前ならば、おなじみの選手対審判団のもめごとが起きる定番シーンです。コーナーキックの判定を巡って、副審の誤りに対して選手たちが「えええええーーーー」と声を上げたところ、すかさず主審が駆け寄ってきて「ごめんごめん」と応じて治める。テクノロジーに頼るばかりではなく、こういった人間味を交えた関係構築の必要性を強く感じました。

 ここに見えたのは、立場の違いはあれ、お互いに良い試合をつくっていこうという意識と相互理解。冒頭の「ジャッジリプレイ」の出演者の皆さんにも共通する価値観です。対立ではなく同じ方向を向いて、それぞれの仕事を磨き合う。日々のヒントにもなりそうです。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。