家にいる時間が長くなり、ついついテレビを観る時間も長くなってきています。その流れで、Youtube等の動画に触れる機会も増えました。そんな中、新しいコンテンツを日々発見している最中ですが、個人的なお気に入りを一つ紹介します。

 その名も「ゆっくり不動産」。「ゆっくり」と「不動産」という言葉の組み合わせが先ず、妙に気になります。家を探すのは、なかなか難しく、選択肢も多く、手続きも何かと面倒で、でも早く決めないといけない事情もあったりして、というイメージがあるのに、「ゆっくり」とは?

 それは何も、ゆっくりと不動産探しをしてください、ということではなく、この動画チャンネル全体の空気感を表した言葉です。手持ちカメラの映像に、音声合成ソフトによる解説。主観映像で物件の内見を疑似体験する、というのが大まかな概要です。

 そして最大の特徴は、クセが強い物件を紹介する、という点です。例えば、バルコニーが7個もある3LDKメゾネット、間取り図で表現できないカラクリ系2LDK、絶対に届きそうにない棚のあるロフト付き物件、等々。

 物件の特徴を紹介しつつ、「何じゃこりゃ~」とか自分で突っ込む。時折、博多弁で「どげんなっとーとー」と入るのは、このチャンネルの運営者が博多ベースだからです。ちなみに、全くの同一フォーマットで先行する関西ベースの「ラムエイ」さんという不動産屋さんのチャンネルもあるのですが、そちらとは大らかな関係を保たれているように見受けられます。

 さて、何故住みもしない物件の紹介映像を見て、そんなにも楽しめるのか? 中には、ここだったら住んでみたい、という憧れの物件的なものもあります。でも、ほとんどはクセの強過ぎる物件で、自分自身が住むイメージは沸きにくいものです。

 では、どうして?

 それは、選択をしない選択肢への妄想欲、にあると思います。私たちの日々は、いくつもの枝分かれを選び続けるものです。その結果として、たった一筋だけの道を辿り、たった一通りだけの色の組み合わせの一枚の絵を描いていく。そういうものです。

 その過程にあって、無数の選び取らなかった選択肢に対して夢想してしまう。そんな気持ちが、心の奥底のどこかに潜んでいるのかもしれません。

 昔、プランニングの仕事をしている時に、「人は何故雑誌を読むのか?」という課題がありました。その時の自分なりの仮説は、「選ばれなかった、もしくは選ぶことのできない選択肢に思いを馳せる」でした。今回の話と、根っこで通じている説です。

 選ぶことと選ばないこと、それぞれに味わい深いものだと、改めて感じ入りました。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。