毎年6月は日本を含む世界各地でLGBTQ+の権利を啓発する活動・イベントが実施されるプライド月間です。当社でも、ジェンダリスト「ミュータントウェーブ。」のメンバーを招いて社内向けのトークイベントを開催したほか、電通グループ4社(セプテーニグループ、電通デジタル、電通PRコンサルティング、電通北海道)の共同主催、電通東日本の協力で、グループ社員向けイベント「Online PRIDE 2024」を開催しました。「Online PRIDE」開催3回目となる今年は、「企業は、LGBTQ+に関する課題に、どう向き合い対応していくのか」をテーマとし、LGBTQ+当事者やメディア編集長を招いて6月27日(木)、28日(金)の2日間のリアルとオンラインのハイブリッド形式で行われました。
※「ミュータントウェーブ。」トークイベントについては、以下の記事で紹介しています。
https://www.dentsuprc.co.jp/releasestopics/topics/20240704.html
「Online PRIDE 2024」DAY1 知る・共有する「アライになろう」
27日のDAY 1では、ジェンダーやセクシュアリティ、性教育などについてマンガで伝えるWebメディア「Palettalk(パレットーク)」編集長の合田文氏をモデレーターとして、自身がトランスジェンダー女性である日本テレビの谷生俊美氏、トランスジェンダーの子を持つPride Family Alliance代表の高田ゆかり氏をゲストとしてお招きして、当事者の立場からさまざまな示唆に富んだお話を伺いました。
写真左から、合田氏、谷生氏、高田氏
冒頭に、主催4社それぞれのアライによるLGBTQ+への取り組みを紹介しました。
続いて、ゲストの谷生氏が自身の半生について振り返り、「女性」として生きる決心をしたきっかけや、周囲からの言葉で傷ついたこと、うれしかったことなどを話しました。現在は職場での理解も得て自分らしさをのびのびと出せる環境になり、「超ポジティブ人間」になったといいます。
トランスジェンダーの子供を持つ高田氏は、子供からカミングアウトを受けたときに、素直に「この子を応援したい」という気持ちになった経験を生かし、「Pride Family Alliance」を立ち上げて性的マイノリティの子供を持つ親に伴走する活動を行っています。親が子供を受容することで、子供も生きづらさを軽減し、「誰もが希望を持って幸せに生きられる社会」につながると考えている、とのことです。
3人によるトークセッションでは、「企業・社会への期待」をテーマとし、職場でのカミングアウトに関する調査結果について語り合いました。まず、LGBTQ+当事者の約75%が職場でカミングアウトしていない(Indeed Rainbow Voice 2023「LGBTQ+当事者の仕事や職場に関する意識調査」)という結果についてです。高田氏は「カミングアウトし易い環境をつくるには時間がかかる。重要なのは、誰もが働きやすい職場づくり。会社はLGBTQ+を含めて社員の幸せの実現に本気で取り組むべきであり、その結果として安心して働きやすくなり、モチベーションもパフォーマンスも高まり業績が上がる、ということであって、業績のための社員の幸せと考えると、それは社員に伝わってしまう」とコメントしました。
また谷生氏は、「日本テレビでもLGBTQ+のための制度はあるが、利用者は少ない。カミングアウトしない理由があるはず。当事者はしない方がデメリットを生まないという合理的な判断をしているのでは」と現状を分析しました。
また、認定NPO法⼈虹⾊ダイバーシティの「nijiVOICE 2023 報告書 LGBTQの仕事と暮らしに関するアンケート調査」によると、職場の「心理的安全性が高い」と感じていると、カミングアウトしている人も多く、「心理的安全性が高い」と回答した人は「職場にアライがいる」と回答している割合がかなり高いとの結果でした。
これについて高田氏は、「上司の方はそれが相手に伝わるようにぜひ心から当事者を応援してほしい。また、周りに支援してくれる人が見えていることが重要。ピンバッジやストラップなどちょっとしたグッズでも当事者からは暗闇の中のともしびに見えることがある」とアライの見える化の重要性を指摘。
谷生氏は自身の経験から「この人に話しても変なことにはならない、受け入れてくれると思われる上司や先輩が大事。またアライだけではなく、ロールモデルが重要で、例えば日本でもスターや有名経営者が性的マイノリティであることをカミングアウトすれば、プラスの影響は非常に大きいと思う。カミングアウトするかは強制があってはならず、それぞれの判断が最優先されるべきだが、出来る状況にある人はぜひカミングアウトしてほしい」とコメントしました。
最後に合田氏が「周囲の人は、自分にできるアクションをする、もう一歩、二歩踏み出すことが大切」と締めくくり、終了しました。